Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器 Joint(JSUM・AFSUMB Joint Session)(English) びまん性肝疾患の超音波診断

(S362)

脂肪肝の超音波所見における線維化の影響

The effect of fibrosis on findings of fatty liver

松居 剛志, 田中 一成, 姜 貞憲, 辻 邦彦, 真口 宏介

Takeshi MATSUI, Kazunari TANAKA, Jong-hon KANG, Kunihiko TSUJI, Hiroyuki MAGUCHI

手稲渓仁会病院消化器病センター

Center for Gastroenterology, Teine-Keijinkai Hospital

キーワード :

【背景】
脂肪肝の超音波所見は一般的に肝腎コントラスト陽性,脈管不明瞭化,深部減衰であり,これらを満たす場合に脂肪肝と判定される.一方,組織学的には,これまで30%以上の肝細胞に脂肪滴を伴うものを脂肪変性としてきたが,近年,脂肪滴を伴う肝細胞が5%以上認められる場合に脂肪変性と定義の変換がなされた.また,脂肪肝の進行により線維化をきたすことは知られているものの,この線維化の進行により超音波所見がどのように変化していくかの報告は少ない.
【目的】
肝の線維化が脂肪肝の超音波所見に与える影響を検討する.
【対象】
ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎などが除外され,肝生検が施行された51例.
【対象の背景】
年齢55.5(15-86)歳,BMI 27.7(20.3-45.8),AST 50(18-399)IU/l ALT 80(14-646)IU/l,ALP 279(129-638)IU/l,γGTP 102(24-569)IU/l,T-Bil 0.7(0.3-1.8)mg/dl,血小板18.6×104(3.8×104-37.1×104)μlであった(以上中央値).組織学的脂肪化領域は40(5-90)%であり,新犬山分類のF因子(0:1:2:3:4)は16:13:12:8:2でA因子(0:1:2:3)は6:33:11:1であった.
【方法】
新犬山分類のF因子により線維化群F2,3,4(22例)と非線維化群F0,1(29例)の2群に分類し,脂肪肝の超音波所見と比較検討した.なお,今回,肝腎コントラストにより客観性を持たせるため,PACS上で肝実質と腎実質の同じ深さにそれぞれROIを置き,肝/腎を算出した.同一症例でこの作業を2回行い,平均値を肝腎コントラスト値とした.
【結果】
両群で血液データ差は認めなかったものの,BMIは線維化群が高い傾向を示した(p=0.0785).脂肪化領域(非線維化:線維化)は40%:45%で,超音波所見は高輝度肝あり24:17例,肝腎コントラスト陽性26:18例,脈管不明瞭化あり22:20例,深部減衰あり21:19例でありこれらの所見は両群では差は認めなかった(N.S.).一方,肝腎コントラスト値では1.26:1.15であり,有意な差は見られないもののF2,3,4の群で肝腎コントラスト比が低い傾向が見られた(p=0.0999).
【考察】
脂肪肝における線維化は超音波の脂肪肝の所見とされる高輝度肝,肝腎コントラスト,脈管不明瞭化,深部減衰には影響していなかった.しかしながら,肝腎コントラスト値でみると線維化群では肝腎コントラスト値が低い傾向を示し,肝腎コントラストが付きにくくなる可能性が示唆された.この原因として線維化群ではBMIが高い傾向を示したことにより,画像の正確な評価が困難であった可能性がある.また,組織学的に脂肪化領域が多い領域に線維化が入り込むことにより,超音波の反射源が減少する可能性などが考えられるが今後の検討が必要と考えられる.肝線維化が進行することで肝腎コントラストはつきにくくなる傾向があり,実臨床では注意を要すると考える.
【結語】
脂肪肝の超音波所見は線維化進展例でも認められるものの,線維化進展例では肝腎コントラストがつきにくくなる傾向があり注意を要する.