Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器 3 超音波所見と病理像の不一致例を見直す

(S359)

肝超音波像のはてな?びまん性病変(脂肪肝)

The difference between pathological findings and Ultrasonographic findings of fatty liver

和久井 紀貴, 松清 靖, 住野 泰清

Noritaka WAKUI, Yasushi MATSUKIYO, Yasukiyo SUMINO

東邦大学医療センター大森病院消化器内科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Toho University Omori Medical Center

キーワード :

超音波検査における脂肪肝診断の歴史は古く,1979年にJosephらが“bright liver pattern”を提唱することから始まり,その後,肝腎コントラストや深部減衰,肝静脈壁の不鮮明化などが診断の手助けとなる特徴像として報告された.しかし近年,超音波装置が発達した結果,超音波ビームのpenetrationが改善され肝脂肪化の特徴的な超音波所見に変化が生じている.特に深部減衰はコンピューター補正の影響で,あたかも減衰がないような画像が作られ,現在の装置では得られにくい所見となった.
今回,「超音波所見と病理像の不一致例を見直す」というテーマでびまん性肝疾患,特に脂肪肝に注目し,当科で経験してきた超音波像を見直した結果,軽度〜中等度の症例では特徴所見が乏しく診断に迷ったケースも存在したが,それほど病理結果と大きな差はなく想定内の結果であった.しかし一見,肝実質のbrightもそれほど強くなく,中等度程度の脂肪肝と予測した症例の中で脂肪化率80%以上の高度脂肪肝症例が経験されていることが判明した.このような超音波像と肝病理所見の不一致を認める症例は,高度脂肪肝例に多い傾向にあった.その原因,および間違わないための対策なども含め,症例を提示しながらお示しする.