Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器 3 超音波所見と病理像の不一致例を見直す

(S357)

組織はこんな構築です(肝,胆道を中心に)

Pathological findings of the liver and the biliary tract

石田 和之1, 長沼 裕子2, 石田 秀明3

Kazuyuki ISHIDA1, Hiroko NAGANUMA2, Hideaki ISHIDA3

1岩手医科大学病理診断学講座, 2市立横手病院消化器科, 3秋田赤十字病院超音波センター

1Department of Molecular Diagnostic Pathology, Iwate Medical University, 2Department of Gastroenterology, Yokote Municipal Hospital, 3Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital

キーワード :

肝臓は組織学的には肝小葉と呼ばれる単位の集合であると考えられており,ヒトの肝臓は約100万個の肝小葉から構成されている.1833年にKiernanはブタの肝臓の研究から肝小葉の概念を提唱し(古典的肝小葉),中心静脈を取り囲む実質と,門脈,肝動脈を含む門脈域結合組織がその周囲を取り囲む構造を肝の基本構造とした.ヒトの肝小葉は長径0.7〜2.0mm,高さ0.5〜2.0mmの六角形状の多角形の稜柱体であるが,個々の形状や大きさはかなりばらついている.肝小葉の中心には中心静脈が位置し,その辺縁には肝小葉相互間の結合組織でもある門脈域(グリソン鞘)が存在する.ヒトの肝臓は小葉間(門脈域)結合組織が少ないのが特徴で,肝小葉内の結合組織は肝細胞索を支持する細網線維のみである.
現在多くの組織学の成書に採用されているRappaportらの肝細葉は,2個の古典的肝小葉にまたがる構築的ならびに機能的単位としての概念である.古典的肝小葉の間を走る終末門脈を中心として肝実質を捉え,肝小葉の中心静脈から門脈域に至る距離を順にzone 3,zone 2,zone 1と3等分することで,肝病変の成立,進展,再生などの機転が理解しやすいとされる.一方で,この肝細葉の概念は実像に合わないとの意見もあり,肝小葉の理解には現状でも多くの課題が残っている.
門脈域あるいはグリソン鞘は,Glisson capsuleとも呼ばれる肝被膜の結合組織が肝実質に樹枝状に分布した構造物であり,ここには肝臓に出入りする門脈,肝動脈,胆管,リンパ管,神経が包まれている.門脈域には常に門脈枝,肝動脈枝および胆管枝が認められ,末梢の門脈域では門脈枝の内径:肝動脈枝の外径:胆管枝の外径の比率はおよそ5:1:1,100μmを越える隔壁胆管が存在する門脈域では10:1:1である.
肝臓を構成する細胞のうち約80%を肝細胞が占めるとされている.肝細胞は18〜30μmの大きさで,血管極(Disse腔に接する面),胆管極(毛細胆管に接する面),隣接する肝細胞に接する面を有する多面立方体である.肝細胞は中心静脈を中心として放射状に並び肝細胞索を形成している.一方,門脈域にみられる小葉間胆管は30〜40μm径で,肝細胞索を貫通する毛細胆管からHering管に移行し,数本の細胆管が集まって小葉間胆管となる.ただしHering管は正常肝ではほとんど認識することができない.細胆管は外径が15〜20μmで,正常肝では目立たないが肝小葉の限界板が破壊されると著明に増生する.
ここまで述べてきた組織レベルでの肝の基本的構造は,形態学的なアプローチから個々の疾患を理解するために必要な知識である.本発表では,特に腫瘤を形成する肝の疾患について,基本構造からどのように形態像が変化しているのか,病態の違いがどのように形態像に現れているのかについてを組織学的観点より論じてみたい.