Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
パネルディスカッション 消化器 3 体外式超音波検査による膵スクリーニングの限界と対策

(S335)

膵頭部スクリーニングにおける膵辺縁のメルクマールを用いた死角のない描出法

US screening for pancreas head area using the landmark of pancreatic peripheral organ

肱岡 範, 原 和生, 山雄 健次

Susumu HIJIOKA, Kazuo HARA, Kenji YAMAO

愛知県がんセンター中央病院消化器内科

Gastroenterology, Aichi Cancer Center Hospital

キーワード :

【目的】
膵臓に対する腹部超音波スクリーニングの最大の使命は,膵癌を見落とすことなく発見することに尽きる.腫瘤そのものを検出できなくても膵管拡張といった二次所見を捉えることも,診断の足がかりとなり重要である.しかし,膵の腹部超音波スクリーニングにおいて,膵頭部は死角が多く,また膵野型の場合は,膵管閉塞を来さず周囲臓器に浸潤する事も稀ならず存在し,見落としてしまう危険性が高く,その対策が必要である.
【方法】
われわれは膵頭部の腹部USスクリーニングにおいて膵野を意識するために,膵辺縁のメルクマールを描出することを意識した方法を教育/施行している.具体的なメルクマールとしては,以下の通りである.
膵前面;胃十二指腸動脈(GDA)または胃結腸静脈(GCV)
膵右側;十二指腸下行脚
膵下縁;第一空腸動静脈(1st J)
膵鉤部〜膵体部;十二指腸水平脚
これらの描出を可及的に行うことで,膵頭部をなるべく死角を少なく見ることができる.
また膵実質の描出が脂肪沈着などにより描出不良であっても,上記のメルクマールを描出することで膵実質に異常所見がないことを確認することも可能な場合もある.
しかしながら,GDA,GCV,1st Jの描出は通常のドップラーでは困難な場合もある.この場合,心拍動によるモーションアーチファクトを受けにくいSMIも有用である.
【対象と方法】
30症例の腹部スクリーニング患者を対象に以下の検討を行った.
検討項目1)Bモードおよびドップラーモードにおける上記の描出能.検討項目2)SMIを用いた場合のGDA,GCV,1st Jの描出能.使用機器はToshiba Aplio400もしくは500.
【結果】
検討項目1)描出能はBモード(血管系はドップラー使用)において,GDA/GCV; 76.6%(23/30),下行脚および水平脚100%(30/30),第一空腸動静脈86.6%(26/30)であった.
検討項目2)血管系の描出能は,SMIを使用することで,GDA/GCV,1st Jは100%描出可能となった.
【結語】
膵辺縁のメルクマールを用いた描出法は高い頻度で描出可能である.本方法を用いることで膵頭部領域において,鑑別でかつ見落としの少ないスクリーニングが可能になると思われた.