Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
パネルディスカッション 消化器 3 体外式超音波検査による膵スクリーニングの限界と対策

(S333)

体外式超音波検査(US)による膵スクリーニング:high volume centerでの現状

Pancreas screening using Ultrasound(US):Current practice at our hospital, a high volume center

小山 里香子1, 田村 哲男1, 河野 優子1, 小川 恭子2, 荒瀬 康司2, 今村 綱男1, 竹内 和男1

Rikako KOYAMA1, Tetsuo TAMURA1, Yuko KAWANO1, Kyoko OGAWA2, Yasuji ARASE2, Tsunao IMAMURA1, Kazuo TAKEUCHI1

1虎の門病院消化器内科, 2虎の門病院健康管理センター

1Department of Gastroenterology, Toranomon Hospital, 2Department of Health Management Center, Toranomon Hospital

キーワード :

【はじめに】
膵癌の診断確定はERCPによる細胞診やEUS-FNAなどで飛躍的に向上したものの,膵病変の拾い上げとしては経済性・簡便性・低侵襲性の観点からもUSに頼らざるを得ず,検診USは大きな役割を担っている.しかしその描出能は検査者の技量,被検査者の条件などに大きく依存する.当院付属の健康管理センターは年間15000件以上のドックUSを施行するhigh volume centerであり,今回当院ドックでの膵スクリーニングの現状を報告する.併せて膵癌切除例でのUS診断についても検討した.
【検討項目】
①USでの膵臓部位別描出率の検討②人間ドックUSでの膵癌検診としての成績③当院膵癌切除例の検討
【検討①】
当院ドックUSは技師が施行し1件あたり6-7分でスクリーニングするが,半座位・座位・右側臥位などの体位変換を励行し膵臓描出率の向上に努めるとともに描出不良部位を明記している.上記スクリーニング法で2010年1月,ドック連続959例での膵臓描出率は,完全描出が頭部29.6%,体部88.9%,尾部5.3%,部分描出はそれぞれ61.5%,9.9%,51.1%であった.以上より膵頭体部の実質はほとんどの症例で完全もしくは部分描出が可能であり,間接所見も考慮すれば膵頭体部の膵管癌のスクリーニングに検診USは有用と考えられる.しかし膵尾部に関しては43.6%が描出不能であり進行癌ですら見落とされる可能性がある.
【検討②】
2010〜2011年の2年間に当院人間ドックUS受診者数は31,219例,男女比2:1,平均年齢53.9歳.膵癌の拾い上げとして2014年に発行された判定マニュアルに基づきUS所見で(1)充実性病変(2)嚢胞性病変(3)主膵管拡張を認める症例について検討した.
(1)充実性病変は0.66%(205例),要精検率0.23%(71例:高エコー腫瘤(カテゴリー2)8例,低(等)エコー腫瘤(カテゴリー4)60例,膵管拡張を伴う腫瘤(カテゴリー5)3例),精検受診率71.8%(51/71),発見された膵癌は2例.
(2)嚢胞性病変は1.97%(615例),要精検率0.44%(136例),精検受診率63.4%(93/136),膵癌は0例.
(3)主膵管拡張は1.12%(351例),要精検率0.532%(166例),精検受診率60.8%(101/166),膵癌は0例.
(1)〜(3)合わせたUSでの膵癌発見率は0.006%(2/31219)であった.尚,エラスターゼ1高値の583例中1例に膵癌が発見され(USでは膵尾部描出不能例での膵尾部癌),この例を含めるとドックでの膵癌発見率は0.01%であった.
【検討③】
同時期2年間の当院における浸潤性膵管癌の切除例は51例,男女比1:1,平均年齢64.2歳.診断契機として有症状例は29例で,疼痛15例・黄疸12例,食欲低下・体重減少9例.無症状例は22例でスクリーニングUSが9例と最多で,次いで血糖コントロール悪化5例や血液検査所見の異常3例であった.つまり無症状での膵癌発見にはスクリーニングUSと血液検査が大きな割合を占めており,これらを含むドック検診は無症状の膵癌発見に重要と考える.なお,腫瘍描出能はUS 96.1%(49/51),CT 94.1%(48/51),MRI 95.7%(45/47)であった.USで指摘できなかった2例はいずれも条件不良例の膵尾部癌症例であり,条件不良例は他のmodalityでカバーすべきと考えられた.
【結論】
膵癌スクリーニングにUSは有用であった.ただし膵尾部癌診断には未だに困難な場合がある.