Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム 消化器 3 胆膵疾患の造影エコー診断up-to-date

(S317)

分枝型IPMNの治療方針決定におけるCE-EUSの有用性の検討

The usefulness for making decision by CE-EUS for the therapy of mural nodule in IPMN

藤田 充

Mitsuru FUJITA

東京医科大学病院消化器内科

Gastroenterology and Hepatology, Tokyo Medical University

キーワード :

【背景と目的】
超音波内視鏡検査(EUS)は体外式超音波検査(US)と比較し,より高い周波数を用い,胃または十二指腸から膵に近接しての観察が可能である.それによって高い空間分解能や解像度が得られ,膵疾患において重要な役割を担っている.さらに近年,超音波造影剤ソナゾイド®を用いた造影EUS(CE-EUS)が開発され,BD-IPMN(Branch type intraductal papillary mucinous neoplasm of the pancreas)における腫瘍,非腫瘍の鑑別において,その有用性が報告されている.今回,われわれは嚢胞内部に結節状隆起を有するBD-IPMNにCE-EUSを施行し,その有用性を後ろ向きに検討した.
【方法と対象】
2010年4月から2015年11月までにCT, MRI, fundamental EUS(f-EUS)のいずれかにおいて,嚢胞内部に結節状隆起が指摘され,CE-EUSを施行した29例を対象とした.男女比は21 : 8,平均年齢67.4歳,平均嚢胞径24.9mmであった.BD-IPMN壁在結節のf -EUSにおけるエコーレベル,CE-EUSでの壁在結節の染影態度に関して検討を行った.
【結果】
結節のf-EUSでのエコーレベルはhyperecho 9例,isoecho 14例,hypoecho 6例であった.結節の染影態度はavascular 19例,hypervascular 3例,isovascular 7例であった.CE-EUSで結節の染影を認めなかった19例は,粘液塊またはdebrisと診断し,手術を回避しえた.嚢胞内部に染影する結節を認めた10例において,7例は手術を施行した.手術を施行した5例の術後病理診断はIPMC 4例,IPMA 3例であったが,f-EUSにおけるエコーレベル,CE-EUSにおける染影態度において,癌,非癌の鑑別は困難であった.
【結論】
CE-EUSは,粘液塊およびdebrisと結節病変を鑑別することが可能であり,壁在結節が疑われるBD-IPMNの治療方針決定に有用である.しかしながら,CE-EUSにおいてBD-IPMNの癌,非癌の鑑別は困難であり,他画像検査をあわせ,総合的に診断する必要がある.