Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム 消化器 3 胆膵疾患の造影エコー診断up-to-date

(S316)

移植膵血栓形成予測における造影超音波検査の有用性

Efficacy of contrast enhanced ultrasonography for prediction of pancreas graft thrombus

杉山 博子1, 西川 徹1, 刑部 恵介2, 市野 直浩2, 川部 直人2, 橋本 千樹2, 吉岡 健太郎2, 會田 直弘3, 伊藤 泰平3, 剣持 敬3

Hiroko SUGIYAMA1, Toru NISHIKAWA1, Keisuke OSAKABE2, Naohiro ICHINO2, Naoto KAWABE2, Senju HASHIMOTO2, Kentarou YOSHIOKA2, Naohiro AIDA3, Taihei ITO3, Takashi KENMOCHI3

1藤田保健衛生大学病院臨床検査部, 2藤田保健衛生大学肝胆膵内科, 3藤田保健衛生大学臓器移植科

1Clinical Laboratory, Fujita Health University Hospital, 2Department of Liver, Biliary Tract and Pancreas Diseases, Fujita Health University, 3Department of Organ Transplant Surgery, Fujita Health University

キーワード :

【目的】
膵臓移植後の静脈血栓症は移植膵graft lossの原因となる周術期合併症であり,早期発見が重要である.移植患者のモニタリング検査としてはベッドサイドにて繰り返し行える低侵襲な検査が求められ,当院では造影超音波(以下CEUS)を活用し移植膵血流および血栓症の評価を行っている.CEUSでは血流の肉眼的評価だけでなく,移植膵実質の経時的な造影効果も確認が可能であり,血行動態の複合的な評価が可能となる.今回,CEUSにて移植膵における血栓形成の予測が可能か検討した.
【対象・方法】
2013年5月から2015年5月に当院で行われた膵臓移植1例(男性:4例,女性:14例,平均年齢42.7±7.1歳)を対象とした.移植直後と術後1,3,5,7,14,21,28日目にCEUSを施行した.血流評価に加え,移植膵実質と移植脾静脈内にそれぞれROIを設定しtime intensity curveにより,それぞれのTime to peakを測定した.移植膵実質から移植脾静脈への造影剤の移行を組織還流の目安とし,実質と脾静脈のTime to peakの差をΔTime to peakとし組織還流評価とした.
【結果】
18例のΔTime to peakは,移植直後は5.28±3.31secと高値を示したが,移植後3日目2.25±1.10sec,移植後7日目1.44±0.82secと低下した.
移植後にCEUSにて移植脾静脈内に染影の欠損像を認め,静脈血栓症と診断された症例は8例(女性:8例,平均年齢:40.6±6.8歳)であった.
移植直後のΔTime to peakは静脈血栓症群で5.18±4.34sec,血栓形成なし群で5.38±2.14secと両群に有意差は認めなかったが,移植後7日目では静脈血栓症群1.89±0.63sec,血栓形成なし群1.08±0.79secと両群に有意差を認めた(P=0.027).
移植直後と移植後7日目のΔTime to peakの変化率を見てみると静脈血栓症群で48.8%(31.1-69.0),血栓形成なし群80.5%(72.7-94.8)と静脈血栓症群で有意に低値であった(P=0.018).
ROC解析において移植後7日目での血栓有り無し群のΔTime to peakのカットオフ値は1.51secであり,曲線下面積0.788,感度75%,特異度80%であった.また,変化率のカットオフ値は55.9%であり,曲線下面積0.860,感度75%,特異度100%であった.
【結語】
膵臓移植後のCEUSにおける血流評価は静脈血栓症のスクリーニングに有用であり,術後7日目のΔTime to peak高値例や変化率が低い場合では血栓症発症の危険因子となる可能性があり,CEUSによる術後評価は抗凝固療法の継続の有無に重要な情報となりえることが示唆された.