Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム 消化器 2(一部英語) 消化器領域におけるエラストグラフィーの最先端

(S312)

膵疾患診断におけるShear wave elastographyの役割と有用性

The role and feasibility of Shear wave elastography for the diagnosis of pancreatic diseases

桑原 崇通1, 廣岡 芳樹2, 川嶋 啓揮1, 大野 栄三郎1, 林 大樹朗1, 石津 洋二1, 葛谷 貞二1, 本多 隆1, 中村 正直1, 後藤 秀実1

Takamichi KUWAHARA1, Yoshiki HIROOKA2, Hiroki KAWASHIMA1, Eizaburo OHNO1, Daijuro HAYASHI1, Yoji ISHIZU1, Teiji KUZUYA1, Takashi HONDA1, Masanao NAKAMURA1, Hidemi GOTO1

1名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学, 2名古屋大学医学部付属病院光学医療診療部

1Department of Gastroenterology and Hepatology, Nagoya University Graduate School of Medicine, 2Department of Endoscopy, Nagoya University Hospital

キーワード :

【目的】
Shear wave elastography(SW)は,剪断弾性波測定を利用し硬さの指標である組織弾性率を非侵襲的に定量化する技術である.またSWは炎症の有無によりその結果に違いが生じると言われている.膵疾患において,疾患や進行度の違いによって膵実質の硬さや炎症の程度に差異があると想定され,今回我々は各膵疾患別,進行度別にSWを用いその有用性を検討した.
【方法】
2012年10月から2015年9月までの期間にPhilips社製iU22を用いてSWを施行した297例を対象とした.症例の内訳は正常膵画像108例,慢性膵炎(CP)78例(確診48例,準確診5例,早期慢性膵炎25例),自己免疫性膵炎(AIP)51例(活動期34例,寛解期17例),膵癌(PC)60例であった.AIP例中25例は治療前後で複数回SWを施行した.正常膵画像例は画像上異常所見認めず,臨床的にも膵疾患が否定できた症例,PCは病理組織学的に,CPの各病期,AIPは各診断基準に従って最終診断した.AIP活動期はprednisolone(PSL)治療を必要とする症例,AIP寛解期はPSL維持量(5-10mg)もしくは無治療で1年以上画像や採血が不変の症例と定義した.SWを正常膵画像例,CP,AIPは膵体部膵実質に対して,PCは腫瘍に対して5回以上測定し,その中央値を膵弾性率(kPa)と定義し,1)各疾患別の膵弾性率,2)慢性膵炎の進行度別の膵弾性率,3)自己免疫性膵炎の治療前後の膵弾性率,について検討を行った.統計学的手法として1),2),3)に関してKruskal-Wallis test・Mann-Whitney U-test・Wilcoxon testを使用した.
【結果】
1)正常膵画像例,CP,AIP活動期,PCの膵弾性率(medianおよびIQR: interquartile range)は3.59(2.19-4.73)kPa,7.94(5.73-12.1)kPa,36.4(23.4-56.3)kPa,26.3(12.8-40.1)kPaであった.CP,AIP,PCは正常膵画像例より有意に低値を示し(P<0.0001),AIP,PCはCPに比して有意に低値を示したが(P<0.0001),AIPとPCの間では有意差は認めなかった(P=0.055).2)早期慢性膵炎,慢性膵炎確診,慢性膵炎準確診の膵弾性率は5.64(4.65-7.47)kPa,9.16(6.45-13.02)kPa,8.63(5.99-16.58)kPaで,慢性膵炎各病期の膵弾性率はすべて正常膵画像例に比して有意に高値を示し(P<0.0001),慢性膵炎確診の膵弾性率は早期慢性膵炎に比して有意に高値を示した(P=0.003).3)AIP寛解期の膵弾性率は5.17(4.45-7.97)kPaで,AIP寛解期はAIP活動期に比して有意に低値を示した(P<0.0001).またPSLによる治療前後におけるAIPの膵弾性率は,37.2(23.4-56.3)kPaから8.21(4.5-12.1)kPaに有意に低下した(P<0.001).
【結論】
SWを用いることで非侵襲的に慢性膵炎の病期診断,自己免疫性膵炎の効果判定を行うことが可能であり,膵疾患診断に有用である.