Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 循環器
ワークショップ 循環器 負荷心エコー検査をもっと身近に

(S290)

拡張型心筋症に対するドブタミン負荷心エコー法での評価

Dobutamine stress echocardiography for patients with dilated cardiomyopathy

松本 賢亮

Kensuke MATSUMOTO

神戸大学大学院循環器内科学分野

Department of Internal Medicine, Division of Cardiovascular Medicine, Kobe University Graduate School of Medicine

キーワード :

心不全はすべての心疾患の終末像で,一旦発症するとその後も再発を繰り返し,その予後は極めて悪いことが知られている.このため,心不全患者の増加は臨床上の問題のみならず,社会における医療負担や医療経済をも含んだ問題となっている.一方で,近年の心不全治療の進歩はめざましく,内科的薬物療法やデバイス治療,在宅酸素療法,さらには補助人工心臓の改良などによりその予後は劇的に改善してきている.他方,これらの濃厚で包括的な心不全治療をすべての心不全患者に行うことは現実的には困難であり,個々の心不全患者における見積もられたリスクに応じて,医療資源を効果的に配分することが求められている.このような背景のもと,これまで我々はドブタミン負荷心エコー図検査が心不全患者のリスク層別化に大きく寄与する可能性があることを報告してきた.
今回我々は,三次元心エコー図法を併用したnon-invasive single-beat法を用い,左室収縮末期エラスタンス(Ees),実行動脈エラスタンス(Ea)および左室動脈連関(VA coupling)を求め,ドブタミン負荷心エコー図検査に応用した.89名の拡張型心筋症患者に対してドブタミン負荷心エコー図検査を行い,VA couplingの変化を求め,その後の心血管イベントを観察した.平均32ヶ月間の観察期間中,22名の患者において心血管イベントが発生した.イベントが見られなかった群では,ドブタミン投与によりVA couplingが有意に改善したのに対し(2.47±1.09 to 1.59±0.68,P<0.001),イベント群ではこのような変化は認められなかった(2.55±0.82 to 2.39±0.99,n.s).Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析では,年齢,NYHA機能分類(>II)に加えドブタミン投与によるVA couplingの改善度が拡張型心筋症患者の独立した予後規定因子であった(それぞれP<0.05,P<0.01,およびP<0.001).ドブタミン投与によるVA couplingの変化量をもとに患者を2群に分けると(図),VA couplingの改善が乏しかった群では,他群に比べ有意に生存率が低値であった(p<0.001).
本ワークショップでは,三次元心エコー図法を併用したsingle-beat法によるEes,Ea,および心室血管連関の定量的評価法と,その日常臨床への応用可能性につき概説したい.