Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 循環器
パネルディスカッション 循環器 Joint(JSUM・AFSUMB Joint Session)(English) Structural Heart Disease(SHD)のカテーテル治療における 心エコーの役割

(S285)

経皮的心房中隔欠損閉鎖術の術中ガイドとしての心エコー図の選択

The Selection of Imaging Modality to Guide Transcatheter Atrial Septal Defect Closure

山野 倫代, 山野 哲弘, 中村 猛, 中西 直彦, 白石 裕一, 松室 明義, 白山 武司, 的場 聖明

Michiyo YAMANO, Tetsuhiro YAMANO, Takeshi NAKAMURA, Naohiko NAKANISHI, Hirokazu SHIRAISHI, Akiyoshi MATSUMURO, Takeshi SHIRAYAMA, Satoaki MATOBA

京都府立医科大学附属病院循環器内科

Department of Cardiovascular Medicine, Kyoto Prefectural University of Medicine

キーワード :

【背景】
一般的に経皮的心房中隔欠損(ASD)閉鎖術は経食道心エコー図(TEE)ガイドに全身麻酔下に施行されるが,全身麻酔を必要としない心腔内エコー図(ICE)の普及により,ICEガイド閉鎖術も増えてきた.しかし両方法の使い分けに関しては十分に検討されていない.
【目的】
当施設における経皮的ASD閉鎖術施行例の欠損孔の解剖学的特徴を評価し,TEE, ICEの単独,あるいは両者併用ガイドの特徴を明らかにすること.
【対象】
当施設で経皮的ASD閉鎖術を施行した連続117例.
方法と結果
術前に静脈麻酔薬による鎮静下にTEEを行い,解剖学的診断および,鎮静の忍容性を確認した.これらの情報を基にTEEガイド,ICE(AcuNav, Biosense Webster)ガイド,TEE+ICEガイド群に選別し,経皮的閉鎖術を施行した.TEEガイド時も鎮静下(moderate to deep sedation)に行った.各群の欠損孔の解剖学的特徴,手技の経過を比較した(表).ICEガイド群では,デバイスのリリース前に全例でTEEを挿入し,デバイスと周囲縁(rim)との関係を短時間で再確認した.Aortic rim欠損の症例の割合は3群間で有意差を認めなかった.ICEガイド群では欠損孔サイズが最も小さく,複数欠損孔例は無かった.TEE+ICE群では,下方rim欠損例や可動性の大きなrim(M modeで計測した振幅が10mm以上)を有する例の割合が最も多かった.上方広範囲のrim欠損を認めた1例を除く全例でデバイス留置が可能だった.また術前のTEEで鎮静が不忍容であると判断した3例を含む8例で全身麻酔下閉鎖術を実施したが,それ以外の症例は鎮静下非全身麻酔で閉鎖術が可能だった.
【結語】
当施設では単独で小さな欠損孔に対してはICEガイド,下方rimや可動性の大きな欠損孔の症例ではTEEとICEの併用で安全にASD閉鎖術が実施できた.またICEガイドで,TEE挿入時間は大幅に短縮することができた.