Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 基礎
シンポジウム 基礎 3 超音波治療の臨床応用最前線

(S240)

MRgFUSによる骨・関節由来の痛みの緩和治療

MRgFUS for the pain management of the bone and joint pain

川﨑 元敬1, 南場 寛文1, 泉 仁1, 武政 龍一1, 池内 昌彦1, 牛田 享宏2

Motohiro KAWASAKI1, Hirofumi NAMBA1, Masashi IZUMI1, Ryuichi TAKEMASA1, Masahiko IKEUCHI1, Takahiro USHIDA2

1高知大学医学部整形外科, 2愛知医科大学学際的痛みセンター

1Department of Orthopaedic Surgery, Kochi University, Kochi Medical School, 2Multidisciplinary Pain Center, Aichi Medical University

キーワード :

【はじめに】
骨・関節由来の治療に難渋する痛みには大別すると,がん性疼痛と非がん性疼痛がある.いずれの疼痛に対しても,心身の負担が少なく鎮痛効果の高い治療法が望まれ実施されているが,十分な治療効果が得られない患者も多く,低侵襲で効率的な治療法が求められている.MRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)とは,MRIをガイドとして実施されるHIFU治療の別称であり,体内の画像評価にMRIを用いることで,標的組織の正確な位置の確認と治療中の経時的な温度評価を実現できる利点があり,骨・関節への本治療を実施する際に有用である.そこで,現行の治療法よりもMRgFUSによる疼痛治療が安全かつ効果的と考えられる疾患に対して,2008年から本治療の臨床研究を実施してきた.
【目的】
当院で本治療を実施した骨・関節由来の痛みを伴う対象疾患の治療成績を提示しつつ,疼痛治療としてのMRgFUSの有用性を確認することである.
【対象・方法】
対象は,がん性疼痛疾患として,放射線療法の適応のない有痛性骨転移(①)を有する患者12例(平均63歳)であり,転移部位の骨反応は,溶骨型5例,混合型6例,造骨型1例で,標的骨転移は,仙骨を含む骨盤7例,肩甲骨2例,大腿骨2例,肋骨1例であった.非がん性疼痛として,②腰椎椎間関節由来の慢性腰痛と③変形性膝関節症に伴う慢性膝痛を対象とした.②:他の保存治療に抵抗性の椎間関節性腰痛を半年以上有し,原因となる椎間関節を2か所までに限定できた患者15例(平均73歳)であり,標的とした腰椎椎間関節は合計22か所であった.③:膝関節内側に著明な変形を認め,他の保存治療に抵抗性の膝内側に限局する痛みを半年以上有し,人工膝関節置換術の適応のある患者11例(平均78歳)であり,圧痛の最も強い膝内側を標的治療部位とした.MRgFUS治療は,SIGNA HDx 3.0T MR system(GE healthcare)で画像評価しながら,ExAblate®system(InSightec Ltd.)を用いた単回治療を実施し,それぞれの疾患の疼痛緩和効果を経時的に確認した.評価項目として,各疾患に伴う最も強い疼痛の程度をNumerical rating scale(0:痛みなし-10:想像できる最大の痛み)で,包括的QOL評価をEQ-5Dを用い,治療前,治療後に経時的に評価し,有害事象の有無を確認した.また,各疾患における治療状況を調査した.
【結果】
①:治療が不十分だった1例を除く11例で有効な除痛効果を示し,数日後から最終経過観察の治療後6か月まで有意な疼痛軽減効果を確認できた.②,③:治療後1か月以内に,NRSスコアが治療前の50%より低下した治療有効患者は,②10例(66.7%),③8例(72.7%)に認め,治療早期から治療後6か月まで有意な疼痛軽減が維持できていた.包括的QOL評価でも,各疾患において治療後数か月で有意な改善を認めた.治療状況として,有痛性骨転移の治療は他の疾患の治療と比べ,超音波照射回数は多く,照射エネルギーは大きく,治療時間は長かった.いずれの治療においても重篤な有害事象は無かった.
【考察・結語】
MRgFUSによる骨関節由来の疼痛の軽減は,疼痛発生に関与する組織の神経線維や侵害受容器への限局的な熱変性効果により得られていると考えられており,がん性,非がん性に関わらず治療後早期から比較的長期にわたる鎮痛効果が得られることを確認できた.骨・関節由来の難治性の疼痛に対するMRgFUS治療は,疼痛治療戦略の一助になりうる可能性が示唆された.