Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
シンポジウム 領域横断 2 Image Fusionは診断能・治療成績をどの様に向上させたか?

(S187)

シミュレーション機能を用いた超音波検査の教育体制

Education of ultrasound sonography using the simulation system

小川 力1, 荒澤 壮一1, 柴峠 光成1, 西田 知紗2, 村川 佳子3, 河合 直之2, 丸山 哲夫2, 3, 木太 秀行2, 3, 大西 宏明2, 3, 工藤 正俊4

Chikara OGAWA1, Soichi ARASAWA1, Mitushige SHIBATOGE1, Chisa NISHIDA2, Yoshiko MURAKAWA3, Naoyuki KAWAI2, Tetuo MARUYAMA2, 3, Hideyuki KITA2, 3, Hiroaki ONISHI2, 3, Masatoshi KUDO4

1高松赤十字病院消化器内科, 2高松赤十字病院超音波診療センター, 3高松赤十字病院検査部, 4近畿大学医学部消化器内科

1Takamatsu Red Cross Hospital, Division of Gastroenterology and Hepatology, 2Takamatsu Red Cross Hospital, Diagnostic Center for Sonography, 3Takamatsu Red Cross Hospital, A, 4Kindai University Hospital, Department of Gastroenterology and Hepatology

キーワード :

【背景】
USは,CT等の他のmodalityに比べ客観性が乏しい欠点があり,また施行者の依存性が強い問題がある.上記の問題点を克服するために各社からシミュレーションシステム(以下SS)が開発され用いられている.今回その問題点を挙げるとともに,当院での取り組みを紹介する.
【目的】
腹部USに従事しているものに対し,SSの現状に関するアンケートを行い,問題点を検討した.
【方法】
対象はスクリーニングの腹部超音波検査を行っている消化器内科の医師8人,研修医6人,超音波検査技師4人の計18人.SSに関する無記名のアンケートを行い問題点と有用性を検討した.また時期は異なるが超音波検査の初心者を対象に仮想超音波についても同様に無記名のアンケートを行った.
【結果】
SSを使ったことがある割合は77.8%であったが,CT等で指摘された肝SOLがUSで同定できないときによくSSを使う割合は27.8%まで低下し,使わない13人はすべて造影USもこれまで行ったことがない検査医であった.またほぼ必ずSS使う割合は11.1%で,2人とも医師でかつRFAに携わる医師であった.SSを用いない理由の最も多い理由は,SSは検査が混み合っていてできないことと,設定が煩雑であることであった.なおSSが有用か?との質問には100%有用と考えるとの答えであった.一方で初心者を対象とした仮想超音波に関するアンケートでは,90%がCT等で指摘された肝SOLの精査の時間の短縮に非常に有効との答えであった.他80%が超音波検査の初心者の指導に有用か?の項目に非常に有効との答えであった.
【考察】
造影US,RFA等の治療に携わるかの有無でSSに対する考え方に違いがある可能性が示唆された.なお設定の煩雑さの改善に関しては,当院では各社からの設定マニュアルの資料に加え,個別に分かりやすく情報を追加した資料を作成している.また動画で設定方法を説明したタブレットを超音波室に常備する取り組みも行っている.なお時間がない時は簡便に行える仮想超音波でのシミュレーションを電子カルテで行ってから肝SOLの同定を行う体制とした.最近では上記を改善するために,CTを施行した超音波技師,医師のdataを用いて,時間のある時にSSの初心者にSSの設定,使用方法に慣れる取り組みも行っている.またより理解するためにカラー表示でのSSの方法も取り入れ教育に取り組んでいる.
【結論】
SSの機器を常備するだけではなく,有効に使う体制作りも重要と考えられた.