Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
シンポジウム 領域横断 1 専門医,検査士制度とその教育をみなおす

(S185)

超音波専門医の新専門研修プログラム

New training program for the expert system

藤本 武利1, 2

Taketoshi FUJIMOTO1, 2

1平塚胃腸病院外科, 2日本超音波医学会超音波専門医制度委員会超音波研修プログラム検討小委員会委員長

1Department of Surgery, Hiratsuka Gastroenterological Hospital, 2Training Program Committee Chairman, JSUM

キーワード :

【はじめに】
2014年4月に中立的第三者機関日本専門医機構が設立され,19基幹学会(19基本領域専門医)は新しい専門医制度の整備に向けて,実際に動き出している.日本超音波医学会は,基幹学会の上に乗るサブスペシャルティ領域,中でも特殊な技能や診療に関するより専門分化した領域の学会と考えられており,現状では制度上の位置づけを含めて検討中の未承認学会という扱いである.
【超音波専門医研修カリキュラムの改訂と運用】
従来は領域毎の超音波専門医の性格が強かったが,超音波専門医は本来超音波医学全般の素養を持ち,循環器病学や消化器病学などの各専門分野の知識だけでなく工学や多領域に亘る知識を備えることが要求されるという特色を持っている.このため,こうした観点も含めて「超音波専門医研修カリキュラム(改訂第2版)」が発刊され,これに沿って超音波専門医研修プログラムが作成されることになる.これに付随して,超音波専門医認定試験問題も必須項目である「医用超音波工学の基礎」と「臨床超音波医学の基礎」を合わせた比率が2014年第24回より55%となり,選択項目「専門医の各領域」の45%を上回っている.
【超音波専門医研修施設の認定と新専門研修プログラム】
従来の超音波専門医制度では,超音波指導医1名あるいは超音波専門医2名を擁するなどの現状施設基準を満たした本会認定研修施設で研修カリキュラムに基づく研修を行い,超音波専門医認定試験に合格して超音波専門医資格を取得することができたが,新専門医制度では専門研修プログラムの履修が必須となる.前掲の基幹学会の実情をみても単一の施設で専門研修施設の認定を受けることが難しくなり,従来各学会で認定されていた研修施設は今回の専門医制度改革により専門研修プログラム基準を満たした専門研修基幹施設と専門研修プログラムを分担する専門研修連携施設に分類され,前者の1施設に後者の複数施設を組み合わせた専門研修施設群が形成されている.専門研修施設群は,専門研修プログラムを作成し,これに基づいて専攻医の専門医資格取得までの全過程を人的・物的に支援することになる.また,専門研修施設群・専門研修プログラムはサブスペシャルティ領域研修委員会の評価を受け,日本専門医機構の認定を受けなければならない.例えば,消化器領域は肝・胆・膵・消化管・その他と広範囲の臓器に亘るので,複数施設における研修を要する場合が想定される.ちなみに,現状でも一部のhigh volume centerに国内留学している実例がみられる.研修プログラムに基づいて超音波教育の中枢を担うのは超音波専門研修指導医である.日本専門医機構のガイドラインによれば,「専門研修指導医とは,専門医相当の資格ならびに診療経験を有し,かつ教育指導能力を有する医師であり,安全管理能力や研究能力を備えていることが望ましい」とされており,現行の超音波指導医と異なって「資格」というより「役割」であると考えられている.その要件は,専門医を1回以上更新したものとされている.日本超音波医学会は,専門研修プログラムのモデルを作成するよう現在作業を進めており,各専門研修施設群ではこれを参考に具体的プログラムを作成していただくことになる.
【おわりに】
制度が変わろうとも専門研修・指導の本質が変わることはなく,また,自らの超音波診療を絶えず振り返って今後に生かす姿勢を涵養することの重要性は時代を超えて不変である.ただし,国民にとって分かりやすくより効率的なシステムを構築することが求められている.