Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 頭頸部・胸部・眼科
頭頸部・胸部 

(S699)

顔面骨整復手術に於ける術中超音波検査の有用性

Intraoperative ultrasound in the reduction surgery of facial fractures

佐次田 保徳

Yasunori SASHIDA

沖縄県立北部病院形成外科

Plastic Surgery, Okinawa Northern Prefectural Hospital

キーワード :

【目的】
顔面骨骨折の整復固定術は,術前のCT所見を基に,術中の視診や触診で整復の可否の判断が下されることが多い一方で,切開線,術野の展開に制限があり,また,組織の腫脹により触診の精度が限られることも少なくない.今回われわれは,表在で使用する超音波検査を術中に行い,顔面骨の整復術に於ける超音波の有用性を検討してみた.
【方法】
超音波機種はプロサウンドα7(日立アロカメディカル株式会社),7.5MHzリニアプローブ(電子リニア探触子UST-5412)を使用した.術野の清潔を保つため,プローブを滅菌した長いビニール袋(Ultra Pro II Needle Guide○R, IA USAまたは傘を入れるビニール袋を滅菌したもの)へ入れて検査を行った.
【対象】
症例は,2010年5月から2014年11月までの11例で,年齢は15歳から48歳,鼻骨骨折9例,頬骨骨折2例であった.
【結果】
全例で整復は完了し再手術例を見なかった.感染などの合併症も認めなかった.
【考察】
鼻骨骨折は通常ワルシャム鉗子を用いて,鼻腔内から鼻中隔または鼻翼を挟み徒手的に整復される.整復後のパッキングや表面の鼻ギブスで固定を保つ努力がなされるが,腫脹による整復の完成度の判断が難しい場合があり,また,後戻りの可能性を残す.超音波は整復される骨,鼻中隔をリアルタイムで観察でき,鉗子を抜いてパッキングする際に後戻りを予防できる点で有用であった.また,頬骨骨折へ従来行われて来た整復の問題点として,頬骨弓の表層を顔面神経が走行するため,同部を直視下に展開できないことがあげられる.そのため,頬骨弓以外の頬骨骨折整復の標準的な観察処として,眼窩下縁の連続性,頬骨上顎接合部,頬骨前頭接合部,頬骨蝶形骨接合部の観察が挙げられるが,転移の仕方や粉砕による骨欠損の程度により,上記のみでは整復が不完全な骨折も存在し得る.頬骨弓を術中超音波により観察しつつ整復することで,より確かな整復へ近づける利点があった.