Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 頭頸部・胸部・眼科
頭頸部・胸部 

(S698)

VTQ法とVTIQ法の剪断弾性波伝搬速度の違い:頚部リンパ節における検討

Comparison of VTQ and VTIQ methods: Shear wave velocity measurement of cervical lymph node

岸本 理和, 尾松 徳彦, 小畠 隆行, 高木 亮, 小藤 昌志, 伊川 裕明, 長谷川 安都佐, 長縄 憲亮

Riwa KISHIMOTO, Tokuhiko OMATSU, Takayuki OBATA, Ryo TAKAGI, Masashi KOTO, Hiroaki IKAWA, Azusa HASEGAWA, Kensuke NAGANAWA

放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院

Research Center Hospital, National Institute of Radiological Sciences

キーワード :

【背景・目的】
ARFI(acoustic radiation force impulse)法を利用した組織の硬度測定には,一か所のROIのみの剪断弾性波伝搬速度(SWV: shear wave velocity)を測定するVTQ(virtual touch quantification)法と,より広い二次元領域のSWVがカラー表示され,その画像上で複数のROIのSWVが測定できるVTIQ(virtual touch IQ)法がある.臨床的にVTQ法とVTIQ法とではSWVの値が若干異なることが時に経験される.前回我々は,ファントム実験で小さい埋め込み領域においてVTQ法はVTIQ法より低い値が出ることを示した.今回は臨床的にこれらの測定法に違いがあるか,頚部リンパ節のSWV測定において比較検討した.
【対象・方法】
2013年9月〜2014年11月の頚部の超音波検査で,短径が4mm以上でVTQ及びVTIQ法でそれぞれ3回・3か所以上SWVを測定できた27人54リンパ節を対象とした.装置はシーメンス社製acuson S3000,9MHzプローベを用いた.VTIQ法によるSWV(SWVvtiq)とVTQ法によるSWV(SWVvtq)はそれぞれの測定の平均値を用い,Spearmanの順位相関係数を求め,paired-t testを用いて比較した.更にサイズが中央値より大きい群・小さい群に分けて,SWVに違いがみられるか比較した.またこれらの差の絶対値と平均との割合|SWVvtiq-SWVvtq| / SWVaverageを求め,VTIQの測定回数との関係を調べた.
【結果】
SWVvtqとSWVvtiqには有意な正の相関が見られた(ρ=0.579,p=0.000)一方で,有意差は見られなかった(p=0.24).サイズの大きい群・小さい群に分けて比較したところサイズの小さい群でSWVvtqがSWVvtiqより小さくなる傾向があったが統計学的に有意ではなかった(p=0.083).また測定回数を増やすと差の絶対値は低下し,双方の測定値が近くなる傾向がみられた.
【結語】
頚部リンパ節のSWV測定において,VTQ法とVTIQ法では有意な差は見られなかったが,サイズの小さいものに関してはその値の解釈に注意が必要と思われた.