Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 血管
腹部血管・動脈 

(S689)

浅大腿動脈の慢性完全閉塞に対する経皮的血管形成術時の経皮的超音波ガイドの有用性

Percutaneous ultrasound-guided percutaneous transluminal angioplasty for chronic total occlusion of superficial femoral artery

森 宣, 亀井 律孝, 本郷 哲央, 髙司 亮, 清末 一路

Hiromu MORI, Noritaka KAMEI, Norio HONGO, Ryo TAKAJI, Hiro KIYOSUE

大分大学医学部臨床医学系放射線医学講座

Department of Radiology, Oita University

キーワード :

【背景】
浅大腿動脈の完全閉塞病変に対するX線透視だけを用いた経皮的血管形成術の際,閉塞部の通過が困難であることが経験される.加えてガイドワイヤーやカテーテルが標的血管外を選択してしまうことによる損傷や閉塞などの重大な合併症の報告もみられる.一方,通過が困難と予想される場合,病変の無い浅大腿動脈遠位,膝窩動脈または足関節レベルの動脈の逆行性穿刺を追加し,双方向アプローチにて手技を完遂する方法も行われてきている.しかしながらこの方法は病変部よりも末梢の非病変部を穿刺するために,同部の出血,損傷,閉塞などの合併症の原因ともなり得る.我々は完全閉塞病変の経皮的血管形成術では安全性,実行可能性の向上を目的にX線透視に加え,経皮的超音波を併用して,ガイドワイヤーが確実に動脈内を走行していることを確認しながら治療を行っている.
【目的】
浅大腿動脈閉塞病変に対する経皮的血管形成術時の経皮的超音波ガイドの有用性を検討する
【対象】
2008年1月〜2014年12月までに浅大腿動脈-膝窩動脈領域の狭窄,閉塞病変に対して経皮的血管形成術を施行した46例中の完全閉塞病変を有する19例を対象とする.
【方法】
治療は血管形成術は前例経皮的超音波を併用し,順行性アプローチにて手技を開始した.ガイドワイヤーが病変を通過した後,血管内超音波にてガイドワイヤーの通過部位の再確認を行った.評価は対象の19症例をretrospectiveに行い,手技成功の有無,合併症の有無,血管内超音波で確認されたガイドワイヤーの通過部位,逆行性アプローチの追加の有無について検討した.閉塞部の再開通が得られたものを成功例と定義した.
【結果】
19例全例で閉塞部の血管形成術に成功した.血管損傷,遠位塞栓等の重大な合併症は認められなかった.血管内超音波を用いた検討では,ガイドワイヤーが標的血管内を通過していることが全ての症例で確認された.18例(95%)は順行性アプローチのみで閉塞部を貫通できた.F-P bypass閉塞後の浅大腿動脈血管形成を行った1例のみ順行性アプローチのみでは遠位吻合部レベルの閉塞部を貫通できず,膝窩動脈穿刺による逆行性アプローチを併用し手技を完遂させた.
【結論】
経皮的超音波ガイドを用いた浅大腿動脈の完全閉塞病変に対する血管形成術は容易に実行可能で本治療法の有用性,安全性を向上させる可能性が示唆される.