佐々木 真由美¹, 丸尾 健², 片山 昌子¹, 山内 陽平¹, 神崎 美佐¹, 島本 健³, 清水 速人¹, 門田 一繁², 小宮 達彦³, 光藤 和明²

Mayumi SASAKI¹, Takeshi MARUO², Masako KATAYAMA¹, Youhei YAMANOUCHI¹, Misa KANZAKI¹, Takeshi SIMAMOTO³, Hayato SHIMIZU¹, Kazushige KADOTA², Tatsuhiko KOMIYA³, Kazuaki MITSUDO²

¹公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院臨床検査技術部生理検査室, ²公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院循環器内科, ³公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院心臓血管外科

¹Department of Clinical Laboratory, Ohara HealthCare Foundation Kurashiki Central Hospital, ²Department of Cardiology, Ohara HealthCare Foundation Kurashiki Central Hospital, ³Department of Cardiovascular Surgery, Ohara HealthCare Foundation Kurashiki Central Hospital

キーワード :

【背景】
腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術（EVAR）は，低侵襲な治療法であることが評価され近年増加している．EVARに伴うエンドリークは，瘤内に血流が漏出したもので，一般的に造影CTによる診断が推奨されている．当院では，腎機能障害や被曝などの影響がないため，超音波造影剤ソナゾイド^®を用いた造影超音波でのエンドリーク評価を併せて行い，造影CTと同等の評価が可能であることを確認している．また，新しいイメージング技術Superb Micro-vascular Imaging ; SMI（東芝メディカル）が様々な領域臓器で使用され始めており，非造影での微細で低流速の血流描出が期待されるが，エンドリークに関しての報告はない．
【目的】
EVAR後のエンドリークに関して，造影超音波を基準としてカラードプラとSMIを用いた評価を行いSMIの有用性を前向きに検討した．
【方法】
2014年6月〜2014年12月にEVAR後エンドリークの評価目的にて，カラードプラ，SMI，造影超音波を施行した31例（男性25例，女性6例，平均年齢80.7±6.4歳）を対象とした．使用機器は東芝メディカルAplio500，3.5MHzコンベックスプローブを用いた．エコーにてカラードプラ（Advanced Dynamic Flow ; ADF），SMI，造影モードでエンドリークの有無を評価した．
【結果】
カラードプラでエンドリーク（+）は15例，エンドリーク（-）は16例であった．SMIでエンドリーク（+）は19例，エンドリーク（-）は12例であった．造影超音波ではエンドリーク（+）は14例（typeⅠ：3例，Ⅱ：11例，Ⅲ：4例，Ⅳ：2例，），エンドリーク（-）は17例であった．造影超音波を基準とするとエンドリークの有無はカラードプラで27例（感度87％，特異度88％，陽性的中率87％，陰性的中率88％），SMIで25例（感度93％，特異度69％，陽性的中率74％，陰性的中率92％）が一致した．
【結論】
SMIはカラードプラと同等以上に感度が高く，エンドリークの検出には有用であった．しかし，今回の検討ではSMIは低流速の血流まで描出するために，EVAR後の瘤内部における血栓化していない血流まで捉えてしまい過大評価をする症例が認められた．血流方向情報がないSMIのみでは最終的なエンドリークの判断は困難であり，カラードプラと併用した方が正確に評価できるかもしれない．