Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 産婦人科
母体・婦人科 

(S654)

IOTA studyを用いた卵巣悪性腫瘍の超音波検査の有用性

Usefulness of ultrasonograhy for malignant ovarian tumor using IOTA study

島田 佳苗

Kanae SHIMADA

昭和大学医学部産婦人科講座

Department of Obstetrics and Gynecology, Showa University School of Medicine

キーワード :

【目的】
卵巣腫瘍の術前診断は,腹腔鏡下手術を決定する上で重要である.本邦では卵巣腫瘍の術前診断ではMRI検査が主であるが,ヨーロッパでは主に超音波で術前評価が行われている.そこで,超音波によるInternational Ovarian Tumor Analysis(以下,IOTA)studyを用いた卵巣腫瘍の術前評価の有用性を検討した.
【方法】
2014年2月から11月までに,当院で手術した卵巣腫瘍症例を対象とし,術前超音波検査の結果をIOTA studyの計算式を用い評価した.IOTA studyとは,年齢,腹水の有無,腫瘍血流の有無,腫瘍の充実部分径,腫瘍壁の不整,acoustic shadowの有無でprobability of malignancy(POM)を算出する方法である.組織型別に超音波診断のPOMについて比較した.さらに,先行研究をもとにPOMのカットオフ値を10%とし,10%以上のものを悪性の疑い,それ以外を良性と診断した.なお,本研究は当院倫理委員会承認のもとに実施した.
【結果】
術後病理診断から卵巣腫瘍115例中,良性腫瘍は105例,悪性腫瘍7例,境界悪性腫瘍3例であった.良性腫瘍のPOMは,中央値1.6%(範囲0.1-12.1)と算出された.組織型別にみると,Endometoriotic cyst 1.8%(0.1‐5.3),Mature cystic tertoma 0.6%(0.1‐8.5),Serous adenoma 4.2%(0.1‐11.9),Mucinous adenoma 2.0%(0.1‐4.2)であった.悪性腫瘍のPOMは,92.6%(12.6-99.5)であった.
悪性を疑った症例では,良性腫瘍2例,悪性腫瘍10例であり,術前に良性の診断となった症例はすべて良性腫瘍であった.
【結論】
IOTA studyを用いた超音波評価によって良性腫瘍では低いPOMを,悪性腫瘍では高いPOMを示した.IOTA studyでPOMが低く評価された症例は,腹腔鏡下手術の適応としてよいと考えられた.