Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 産婦人科
流早産・分娩 

(S649)

後期流産例においてsludgeの有無はBVスコアと関連する

The relationship between sludge and BV score

長谷川 ゆり, 吉田 敦, 東島 愛, 淵 直樹, 増崎 雅子, 三浦 清徳, 増崎 英明

Yuri HASEGAWA, Atsushi YOSHIDA, Ai HIGASHIJIMA, Naoki FUCHI, Masako MASUZAKI, Kiyonori MIURA, Hideaki MASUZAKI

長崎大学産科婦人科学講座

Obstetrics and Gynecology, Nagasaki University

キーワード :

【緒言】
後期流産は治療抵抗性で,妊娠継続を断念せざるを得ない例も少なくない.近年,経腟超音波で観察される羊膜腔に浮遊する沈殿物(sludge)と流早産との関連が報告されている.
【目的】
後期流産例におけるsludgeの有無について,臨床所見との関連性を検討した.
【方法】
後期流産例のうち,染色体異常,胎児奇形,母体合併症を伴う例あるいは人工妊娠中絶を除いた43例を対象とした.43例のうち,未破水かつ経腟超音波でfunnelingを認めた例は25例であった.血液検査およびBVスコアは妊娠中の最高値を用いた.
【結果】
経腟超音波でfunnelingを認めた25例のうち,sludgeを認めなかったものは14例(sludge(-)群),sludgeを認めたものは11例(sludge(+)群)であった.sludge(-)群の平均白血球数は11,664/μl,sludge(+)群のそれは12,555/μlであり,両群間に有意差は認められなかった(welch’s t-test).CRPの平均値はsludge(-)群で2.92mg/dl,sludge(+)群で2.81mg/dlであり,両群間に有意差は認められなかった.腟培養検査は,sludge(-)群10例,sludge(+)群8例に行われた.BVスコアの平均はsludge(-)群で1.6,sludge(+)群で5であり,両群間に有意差を認めた(Mann-Whitney’s U test: p=0.042).検出された細菌のうち,最も多いものはGardnerella vaginalisであり,sludge(-)群1例,sludge(+)群で4例であった.流産後の病理検査でchorioamnionitis(CAM)はsludge-群ではⅢ度7例,Ⅱ度3例,Ⅰ度2例であり,sludge+群でⅢ度5例,Ⅱ度1例,Ⅰ度2例であり,両群間に有意差を認めなかった(Mann-Whitney’s U test).
【考察】
後期流産例では感染が原因であることが多いが,その予測は困難である.全身の炎症反応は上昇していないことが多いこともその一因である.流産後の病理所見ではCAMを認めることが多いが,流産の予測には利用できない.腟からの上行感染によりCAMを発症し,流産に至ることをと考えると,BVスコアとsludgeの有無とが有意に関連していたことより,sludgeは流産を引き起こすような細菌性腟症と関係がある所見と考えられる.
【結論】
流産症例におけるsludgeの有無はBVスコアと関連する.