Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎盤・臍帯 

(S648)

超音波所見が経時的に変化した羊膜下血腫の1例

A case of subamniotic hematoma with sequential change of ultrasonographic findings

太田 創, 大槻 克文, 荒木 美智子, 前田 雄岳, 岡崎 美寿歩, 小山 恵子, 西 健, 内山 心美, 神保 正利

Hajime OTA, Katsufumi OTSUKI, Michiko ARAKI, Otaka MAEDA, Mizuho OKAZAKI, Ayako KOYAMA, Takeshi NISHI, Nozomi UCHIYAMA, Masatoshi JINBO

昭和大学江東豊洲病院産婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, Showa University Koto Toyosu Hospital

キーワード :

羊膜下血腫は胎盤上の臍帯付着部近辺で絨毛膜板と羊膜の間に形成される単胞性嚢胞性病変で,胎児発育不全や胎児機能不全,早産を合併した症例報告もある.超音波検査では薄い被膜をもち,内部に血流を伴わない卵円形の低エコーの腫瘤として胎盤胎児面に描出されるが,羊膜から隆起するthrombotic massを伴う症例や妊娠中に萎縮してしまう症例も報告されており,経過は一様ではない.今回は妊娠20週から羊膜下血腫と診断され,妊娠33週から緊満感が消失し不整形を示した羊膜下血腫の1例を経験したので報告する.
症例は33歳の1回経妊1回経産婦で,自然妊娠で単胎妊娠成立後は妊娠12週より当院で健診を行った.妊娠20週時の経腹超音波検査で,後壁付着の常位胎盤表面から隆起し,臍帯付着部に接する長径38mmの卵円形で低エコーの単胞性嚢胞性病変を認めた.臍帯は2動脈1静脈で,嚢胞性病変の表面を走行しながら胎盤の左側方に付着していた.妊娠経過は順調で胎児発育や臍帯動静脈血流に異常は認めなかった.嚢胞は長径50mmまで緩徐に増大したが,妊娠33週からはthrombotic massを伴うとともに緊満感が消失し不整形を示した.妊娠38週0日に正常分娩で3027gの女児を娩出した.胎盤は667g,22×18×2cmだった.臍帯付着部の羊膜下に緊満感が消失した52×43mmの単胞性嚢胞性病変を認め,内部には血塊と血栓性腫瘤を認めた.
超音波所見が経時的に変化する羊膜下血腫の1例を経験した.羊膜下血腫の診断においては,その超音波所見に時間的,空間的多様性が存在することに留意する必要がある.