Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
腹部(その他②) 

(S619)

糖尿病症例における初回腹部超音波検査で指摘された腹部悪性腫瘍

Abdominal ultrasonography in DM patients

平岡 淳1, 越智 麻理絵1, 松田 梨江2, 畔元 信明1, 二宮 朋之1, 道堯 浩二郎1

Atsushi HIRAOKA1, Marie OCHI1, Rie MATSUDA2, Nobuaki AZEMOTO1, Tomoyuki NINOMIYA1, Koujiro MICHITAKA1

1愛媛県立中央病院消化器病センター内科, 2愛媛県立中央病院検査部

1Gastroenterology Center, Ehime Prefectural Central Hospital, 2Department of Laboratory, Ehime Prefectural Central Hospital

キーワード :

【目的】
糖尿病(DM)では肝癌(HR2.5),膵癌(HR1.82),大腸癌(HR1.3),膀胱癌(HR 1.24)など悪性疾患の有病率が増加することが知られている.当院でDMにてDM内科を受診した際に施行された初回スクリーニング腹部超音波検査(US)を受けた症例における腹部悪性腫瘍の指摘頻度を明らかにする.
【対象・方法】
肝癌(HCC)など消化器疾患にて当院で定期的な通院をされているDM症例を除いた,2005年10月より2014年10月の間にUSを初めて受けたDM2271例(平均61.7歳,男性1254,女性1017).検査にて異常を指摘され,追加検査で確定診断がついた疾患数を集計した.
【結果】
USで指摘,診断に至った悪性腫瘍はHCC8例,転移性肝腫瘍8例(膵癌,直腸癌各2例,上行結腸癌,胆管癌,肺癌,乳癌各1例),胆管癌,右腎癌,膀胱癌各1例であった(その他IPMN疑い14例,肝内SOLを指摘されたものの追加検査受診がなく結果不明10例).明らかな悪性疾患指摘率は19/2271(0.84%)であった.HCVやHBV感染,明らかな多量飲酒継続症例,他院にて診断されたAIH・PBCなどを除外した症例におけるHCC指摘率は2083例中3例(0.14%)で,平均年齢は75.6歳(67〜92歳),男性:女性=1:2,Fib-4 indexは平均4.84(2.87,4,66,6.98).65歳以上のDM症例に限るとHCC指摘率は0.3%(3/947)であった.
【考察】
依田らの報告(日消集検誌2006)によると一般腹部超音波検診での癌発見率は0.04%(HCCは0.017%,膵癌は0.004%)とされる.また,日本人における臓器別にDMによる発癌リスク上昇は肝臓が最も大きかったと報告された(Inoue M. Arch Intern Med 2006).DM症例における癌発見率はさらに高率であり,HCCの発見頻度も高かく,65歳以上の高齢症例においてはFIB-4などを用いて高度肝線維化が予想される場合はより厳密な定期的USスクリーニングが求められる.
【結語】
DM症例は一般の検診USに比べて高率に悪性疾患を合併していた.