Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
門脈圧亢進症 

(S601)

慢性肝疾患患者の肝細胞癌,食道静脈瘤発症予測でのShear Wave Elastographyの有用性

Value of Shear Wave Elastography for predicting Hepatocellular Carcinoma and Esophagogastric Varices in Patients with Chronic Liver Disease

笠井 美孝, 杉本 勝俊, 竹内 啓人, 安藤 真弓, 佐野 隆友, 森 俊文, 古市 好宏, 小林 功幸, 中村 郁夫, 森安 史典

Yoshitaka KASAI, Katsutoshi SUGIMOTO, Hirohito TAKEUCHI, Mayumi ANDO, Takatomo SANO, Toshifumi MORI, Yoshihiro FURUICHI, Yoshiyuki KOBAYASHI, Ikuo NAKAMURA, Fuminori MORIYASU

東京医大消化器内科

Department of Gastroenterology, Tokyo Medical University

キーワード :

【目的】
慢性肝疾患を有する患者の肝細胞癌(HCC)及び食道静脈瘤発症予測におけるShear Wave Elastography(以下SWE)の有用性を後方視的に検討する.
【方法】
当科において2011年8月から2012年12月の期間にSWEを用いて肝硬度を測定した慢性肝疾患を有する273人を対象とした(HCV: 120例,HBV:38例,NASH: 31例,その他:84例).超音波診断装置はSuperSonic Imagine社製Aixplorerを使用した.さらに,HCCや門脈圧亢進症の発症に関与する血液検査項目の測定も行った.HCC及び食道静脈瘤の発症予測における肝硬度とその他の血液検査の項目の精度に関しROC解析を行い評価した.
【成績】
273人中HCCの出現を認めた患者は89人,認めない患者は184人であった.食道静脈瘤を有する患者は16人,有さない患者は257人であった.HCCにおいて癌患者(18.65±10.78 kPa)と非癌患者(10.64±8.04 kPa)の肝硬度ついて比較すると,癌患者で有意に高値であった(P<.0001).また,年齢(P<.0001),血清アルブミン値(P<.0001),血小板数(P<.0001),血清AFP値(P<.0001)及び血清PIVKA-II値(P<.0001)についても同様の結果が得られたが,ROC曲線下面積(AUROC)が最大であったのは肝硬度であった(0.791).食道静脈瘤においても罹患者(22.65±10.19 kPa)と非罹患者(12.67±9.45 kPa)の肝硬度を比較すると,前者で有意に高値であった(P<.0001).血清アルブミン値(P<.0001),血小板数(P<.0001)について同様の結果が得られた.肝硬度のAUROCは血小板,アルブミンに次いで高かった(0.807).
【結論】
SWEによる肝硬度は慢性肝疾患を有する患者のHCC及び食道静脈瘤の発症予測において有用である.