Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
SMI 

(S597)

C型肝硬変におけるSuperb Micro-vascular Imagingの有用性

Clinical evaluation of the Superb-Micro-vascular Imaging in patients with LC-C

工藤 岳秀1, 丸山 憲一1, 松清 靖2, 池原 孝2, 篠原 正夫2, 和久井 紀貴2, 渡邉 学2, 永井 英成2, 住野 泰清2

Takahide KUDOU1, Ken-ichi MARUYAMA1, Yasushi MATSUKIYO2, Takashi IKEHARA2, Masao SHINOHARA2, Noritaka WAKUI2, Manabu WATANABE2, Hidenari NAGAI2, Yasukiyo SUMINO2

1東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部, 2東邦大学医療センター大森病院消化器内科

1Abdominal Ultrasound Labo., Toho University Ohmori Medical Center, 2Dept. of Gastroenterol. & Hepatology, Toho University Ohmori Medical Center

キーワード :

ウィルス性慢性肝炎や自己免疫性肝炎など炎症・壊死・瘢痕化が病変進展の基本となる慢性肝疾患においては,小葉改築後の周辺瘢痕内血管がいわゆる内シャント血流路として問題となる.内シャントが存在すると,有効肝血流は減少し肝機能の低下を招くだけでなく,残存肝細胞の血流ストレスに対する脆弱性ももたらすと考えられる.従って,内シャントの掌握は臨床的に重要と思われるが,それを捉え得る簡便な装置はこれまでなく,それ故にこの所見を診療の一助にするという考え方自体も一般的でなかった.一方,2014年1月から東芝社製Aplioに搭載されるようになったSuperb Micro-vascular Imaging(SMI)は,造影剤を使わずに低流速血流を検出することを目的に開発された技術である.モーションアーチファクトを低減させ,さらにフレームレートを高くすることによって,より良好なリアルタイム画像を提供してくれる.
【目的】
今回我々は,本手法を用いて肝実質内シャント血流を描出できるか否か,またその意義を明らかにすべく臨床的検討を行った.
【対象・方法】
我々の施設で2014年5月〜10月の間にSMIを施行したHCV肝硬変連続34例(前例臨床的に肝硬変と診断).使用装置は東芝社製Aplio500,6.0MHzリニア型プローブ.検査は早朝空腹時に仰臥位で施行.皮下脂肪が比較的薄くかつ,萎縮した肝臓でも比較的安定して画像が得られる右肋間から肝S5領域の肝表2cmの深さの血管を観察した.肝実質内シャント血流:肝表近傍末梢においてシャント路であるか否かの確定は困難である.よって本検討では,末梢に向かう血管同士を結ぶアーチ状の血管が認められた場合,これをシャント血流とした.
【結果】
対象34例中,シャント血流の所見は8例に認められ,26例には認められなかった.これら2群において各種肝機能検査所見を比較検討したところ,シャント例ではPTは低値を,ビリルビンは高値を示す傾向が認められた.
【結論】
SMIのような高感度装置・モードといえども,顕微鏡レベルの血流まで描出することは困難である.しかし,本装置を用いることによりシャント血流はかなり容易に観察可能であり,進行した慢性肝疾患の病態把握に有用なツールになり得ると考える.