Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 消化器
肝腫瘍(治療①) 

(S575)

RVSにおける新3Dシミュレーションシステムの使用経験

Experience of using new type of 3D simulation system on RVS

坂本 梓1, 木村 達1, 谷口 敏勝2, 齋藤 澄夫1, 西島 規浩1, 那須 章洋1, 米門 秀行1, 喜多 竜一1, 大崎 往夫1

Azusa SAKAMOTO1, Toru KIMURA1, Toshikatsu TANIGUCHI2, Sumio SAITO1, Norihio NISHIJIMA1, Akihiro NASU1, Hideyuki KOMEKADO1, Ryuichi KITA1, Yukio OSAKI1

1大阪赤十字病院消化器内科, 2大阪赤十字病院超音波検査室

1Gastroenterology and Hepatology, Osaka Red Cross Hospital, 2Ultrasound, Osaka Red Cross Hospital

キーワード :

【背景】
バイポーラRFAシステムであるCelonPOWERは,複数本の電極針を用いることで,短時間に広範囲の焼灼を行うことができる.しかし,良好な焼灼域を得るためには,複数本の電極針それぞれを,標的結節を中心に3次元的に適切な位置に配置する必要がある.US下に3次元的な位置関係を認識することは難しく,そのため期待する焼灼域が得られない場合も生じうる.この問題を解決するための一手段として,術前シミュレーションがある.今回我々は,fusion画像技術(RVS)を応用し,術直前にも繰り返し穿刺シミュレーションを行うことができるHITACH-ALOKA社の新3Dシミュレーションシステムを利用する機会を得たので,その有用性と問題点を報告する.
【対象と方法】
2014年5月20日から12月5日に当院でRFAを施行した141例191結節の内,RVS新3Dシミュレーションシステムを使用した73例,内CelonPOWERを使用し複数本の電極針で穿刺した19例22結節を対象とした.US装置はHITACHI-ALOKA社HI VISION Preirusを,プローブはEUP-B715,EUP-B712を使用した.
【結果】
平均腫瘍径25.4±10.6mm,使用電極針はT20 2本:1結節,T30 2本:8結節,T30 3本:8結節,T40 3本:5結節であった.平均セッション数は1.2±0.4回,1セッションでR1(肝臓2008;49:192)以上の治療成績が得られた割合は全体で68.2%であった.R1以上の成績割合は腫瘍径<30mm:≧30mmで85.7%:37.5%(p=0.032),電極針2本使用:3本使用66.7%:69.2%(p=0.628)で,腫瘍径別で有意差があったものの電極針数別で有意差はなかった.同時期にcool-tipでRFAを行った結節の平均腫瘍径は16.4±6.1mm,平均セッション数は1.1±0.3回,1セッションでR1以上の成績が得られた割合は87.0%であった.
【考察】
当院でのCelonPOWER使用例は平均腫瘍径が大きいため,1セッションでの根治的治療完遂率はやや低い結果であった.一方,3次元的に適切な配置が困難とされる電極針3本使用例において,新3Dシミュレーションシステムを使用することで,電極針2本使用例と同等の治療成績を得ることができた.新3Dシミュレーションシステムは,3D像で3次元的に電極針の位置関係を確認することができ,電極針3本間の絶縁体間距離を数値で示すことができる.従来のシミュレーションと大きく異なる点として,リアルタイムにUSを行いながら,術直前にもシミュレーションを行うことができるという点で,画期的なシステムといえる.しかし,シミュレーション通りの穿刺が困難な現状もあり,改良が必要な点も考察され,当院での使用経験をもとに報告する.