毛利 康一¹, 二坂 好美², 小島 祐毅², 有吉 彩², 山岸 宏江², 湯浅 典博²

Koichi MOHRI¹, Yoshimi NISAKA², Yuki KOJIMA², Aya ARIYOSHI², Hiroe YAMAGISHI², Norihiro YUASA²

¹名古屋第一赤十字病院一般消化器外科, ²名古屋第一赤十字病院検査部

¹Department of Surgery, Japanese Red Cross Nagoya Daiichi Hospital, ²Department of Clinical Laboratory, Japanese Red Cross Nagoya Daiichi Hospital, ² 

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症例は54歳男性．2013年5月，1週間前からの下腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した．右下腹部に軽度の圧痛を認めたが，腹膜刺激徴候を認めなかった．血液検査所見ではCRP 12.0mg/dL，WBC 10900/dLと炎症反応の上昇を認めた．造影CTでは右側結腸・回腸腸間膜の脂肪織濃度の上昇，間膜内に泡沫状のairを認めた．入院翌日に施行したUSでは，終末回腸から突出する9×5mmの低エコーの嚢状構造物を認め，それを中心に周囲脂肪織が高エコーを呈し，その内部に多発する点状・斑状高エコーを認めた．カラードップラーUSでは回腸から突出する嚢状構造物に動脈拍動を認め，以上の所見から回腸憩室の穿孔，腸間膜膿瘍と診断した．入院4日目に腹腔鏡下回盲部切除を施行した．術中所見では回盲部腸間膜内に白濁した膿瘍を認め，切除標本の病理組織学的検索では，回腸憩室穿孔と腹膜炎の所見が確認された．