Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 循環器
症例報告・弁膜症1 

(S524)

大動脈二尖弁によるバルサルバ動脈瘤に大動脈炎症候群を合併した重症大動脈弁不全

A Case of Valsalva Aneurysm Associated with Bicuspid Aortic Valve Causing Severe Aortic Valve Regurgitation, Complicated with Aortitis Syndrome

山元 博義1, 2, 加藤 弘康1, 国重 めぐみ1, 小杉 元宏1, 水上 雪香1, 西蔭 朋子2, 井戸田 恭子2, 福本 直栄2, 別府 慎太郎1

Hiroyoshi YAMAMOTO1, 2, Hiroyasu KATOU1, Megumi KUNISHIGE1, Motohiro KOSUGI1, Yukika MIZUKAMI1, Tomoko NISHIKAGE2, Kyouko IDOTA2, Naoe FUKUMOTO2, Shintaro BEPPU1

1大阪みなと中央病院内科, 2大阪みなと中央病院臨床検査科

1Internal Medicine, Osaka Minato Central Hospital, 2Clinical Laboratory Department, Osaka Minato Central Hospital

キーワード :

【症例】
18歳男性
【現病歴】
数週間前から出現した夜間の息苦しさと胸痛を主訴に来院.体温36.8℃,心拍数88/min,血圧80/34mmHg,胸骨左縁第4肋間を最強点とする拡張期雑音を聴取.心電図で胸部誘導V4-6,II,III,aVfでST低下,胸部レントゲンで軽度のうっ血を認めた.検体検査ではCRP高値,トロポニンT陽性,血液培養陰性,抗核抗体陰性,心筋炎関連ウイルス抗体価の有意な上昇を認めなかった.心エコーで大動脈弁はNCC-LCC癒合型の2尖弁および弁輪部に膿瘍または瘤と考えさせる異常構造物を認め,癒合弁の逸脱による重症の大動脈弁逆流を呈し,左室内腔の拡大,収縮能の低下,肺高血圧を認めた.胸痛と心不全コントロールが困難であったため2尖弁に感染性心内膜炎を合併したことによる大動脈弁逆流の増悪の可能性を考え,他院へ転院し手術が施行された.術中所見ではエコーで認められた異常構造物はバルサルバ動脈瘤と考えられ,同部位をパッチ閉鎖後大動脈弁置換術が施行された.持続する炎症反応,および大動脈分枝の動脈硬化存在と鑑別疾患の否定により本症例は大動脈弁症候群と診断された.
【考察】
先天性二尖弁ではバルサルバ洞の脆弱性がしばしば存在する.本症例ではNCC-LCC癒合弁に隣接してバルサルバ動脈瘤が慢性的に形成されておりしており,そこに合併した大動脈炎症候群による炎症が病態に影響を与えた可能性ある.
【結語】
大動脈2尖弁に大動脈炎症候群を合併したバルサルバ動脈瘤に伴う重症大動脈弁不全の一例経験した.