Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 循環器
運動負荷/その他 

(S521)

四肢動脈におけるwave intensityの検討

Wave intensity analysis of the upper and lower extremities

矢内 紫織1, 仁木 清美1, 菅原 基晃2

Shiori YAUCHI1, Kiyomi NIKI1, Motoaki SUGAWARA2

1東京都市大学大学院工学研究科生体医工学専攻, 2姫路獨協大学医療保健学部臨床工学科

1Biomedical Engineering, Graduate School of Engineering, Tokyo City University Graduate School, 2Medical Engineering, Himeji Dokkyo University

キーワード :

【背景】
大動脈における動脈硬化の進行は上行大動脈から腹部大動脈にかけて不均一に進行することが知られているが,四肢動脈においても上肢に比べて下肢の動脈硬化がより早期より始まる.今回我々は上下肢のwave intensity計測を行い,上下肢の血流速度および血圧波形の比較検討を行った.
【対象・方法】
Wave intensity計測システム(日立アロカ社製 SSD6500)を用いて健常者成人男性5名(年齢25歳)の総頸動脈,上腕動脈,橈骨動脈,膝窩動脈,後脛骨動脈の血管径変化波形および血流速度波形の同時計測を行った.血圧波形は,血管径変化波形に上腕動脈の最高血圧・最低血圧を入力することで較正を行った.さらに実測より得た血流速度波形・血圧波形を用いてwave intensity(WI=(dP/dt)(dU/dt))を計算し,心-血管系の干渉を表す指標として用いた.
【結果】
四肢動脈においても総頸動脈と同様に心臓から発生する前進波と膨張波を認めた.総頸動脈で認められた反射波は脳循環からのものであるが,上肢では手背からの,下肢では足部からと考えられる反射波が前進波の後に認められた.上腕動脈においては心臓からの前進波に加えて下肢からの反射波が前進波となって出現した.心臓からの膨張波は末梢に行くにつれ小さくなった.橈骨動脈では心臓からの前進波,膨張波とも上腕動脈より小さくなり,手背からの反射波が大きくなった.一方,下肢において,膝窩動脈では駆出初期の前進波に続いて膨張波が出現し,血流速波形は逆流波となっていた.逆流波形は後脛骨動脈においても同様に認められた.
【結論】
心臓からの膨張波は上肢では減弱するが下肢では増幅され逆流波を形成している.