Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 循環器
運動負荷/その他 

(S520)

2週間の高強度のトレッドミル運動は動脈の弾性率を低下させる

Two Weeks of High-intensity Exercise Training on a Treadmill Reduces Arterial Stiffness

田中 みどり1, 菅原 基晃1, 小笠原 康夫2, 仁木 清美3, 梶谷 文彦4

Midori TANAKA1, Motoaki SUGAWARA1, Yasuo OGASAWARA2, Kiyomi NIKI3, Fumihiko KAJIYA4

1姫路獨協大学医療保健学部, 2川崎医科大学医学部, 3東京都市大学医工学科, 4川脇医療福祉大学臨床工学科

1Health Care Science, Himeji Dokkyo University, 2Medical Engineering, Kawasaki Medical School, 3Medical Engineering, Tokyo City University, 4Medical Engineering, Kawasaki University of Medical Welfare

キーワード :

【目的】
若年健常者で70%Peak VO2強度のトレッドミル運動を1日30分,週5回,2週間継続したところ,血管弾性率指標である圧力ーひずみ弾性率(Ep)とスティッフネス・パラメータ(β)が有意に低下した.弾性率の低下が拍動による直径変化率の増加によるものかどうかを検証するのが,本研究の目的である.
【対象】
若年健常者27名(男性20名,年齢20-22歳)を対象とした.
【方法】
Ep =(Ps - Pd)/[(Ds - Dd)/ Dd],β=(ln Ps-ln Pd)/[(Ds - Dd)/ Dd]で算出される.ここでPs, Pdはそれぞれ収縮期,拡張期血圧,Ds, Ddはそれぞれ収縮期,拡張期血管直径である.これらの値の運動前後での変化を測定し,どのパラメータの変化がEp,βを低下させたかを検証した.カラードプラとエコートラッキングシステムを搭載した超音波診断装置を用いて,総頸動脈で頚動脈洞より2〜3cm近位部の直径変化と最大血流速度(max U)を測定し,同時に上腕部でカフ型血圧計を用いて収縮期および拡張期血圧を計測,超音波診断装置に入力した.心電図により心周期を確認し,心拍数を測定した.測定は,運動開始前に安静状態で行い,2週間の運動の後に,運動開始前と同様に安静状態で行った.
【結果】
運動後の各パラメータの値は開始前の値を100とした%で表示する.Epとβは有意に低下した(Ep =92.3%,P<0.01 ;β= 94.0%,P<0.05). PsとPdは有意の変化をしなかった.DsとDdは有意に低下した(Ds = 97.7%,P = 0.01 ; Dd = 97.1%,P<0.01).(Ds - Dd)/ Ddは有意に増加した((Ds-Dd)/ Dd = 110.2%,P<0.05). max Uは有意の変化をしなかった.
【結論】
2週間の高強度トレッドミル運動による頸動脈弾性率の低下は,動脈の直径変化率の増加のみに由来した.最大血流速度に変化はなかったので,血流により動脈壁に加わるせん断応力の持続的な変化(NO産生の持続的変化)はなかったと考えられる.