水越 慶^{1, 2}, 竹内 正明¹, 永田 泰史¹, 大谷 恭子¹, 明石 嘉浩², 尾辻 豊¹

Kei MIZUKOSHI^{1, 2}, Masaaki TAKEUCHI¹, Yasufumi NAGATA¹, Kyoko OTANI¹, Yoshihiro AKASHI², Yutaka OTSUJI¹

¹産業医科大学第2内科学, ²聖マリアンナ医科大学循環器内科

¹Second Department of Internal Medicine, University of Occupational and Environmental Health, School of Medicine, ²Division of Cardiology, Department of Internal Medicine, St. Marianna University School of Medicine

キーワード :

【背景・目的】
左室心筋重量（LVM）の計測に3D心エコー（3DE）は心臓MRI（CMR）同様有用な検査法であることが知られている．近年登場した3Dスペックルトラッキング法（3DSTE）による左室容量計測の有用性は報告されているが，LVMの計測に関しての検討はない．本研究の目的は，LVM計測における3DSTEの信頼性をCMRと比較検討することである．
【方法】
対象は3DEとCMRを同日に施行した57例．3DEでは心尖部アプローチからfull-volume dataを得た．3DSTE解析ソフト（4D LV-Analysis 3.1.2，TomTec Imaging Systems）を用いて，心内膜と心外膜の境界を半自動的にトレースし，（拡張末期心外膜容積−拡張末期心内膜容積）×1.05にてLVMを求めた．CMRによる計測はSSFP法による多断面短軸cine CMR画像から解析ソフト（Segment, Medviso）を用いて，左室拡張末期容積（LVEDV）・左室収縮末期容積（LVESV）・左室駆出率（LVEF）・LVMを求めた．
【結果】
LVED（S）V計測において両検査間には良好な相関を認めたが，3DSTE法はCMR法に比し，左室容量を有意に過小評価した（LVEDV: 147±52ml vs. 175±66ml, p＜0.001，r=0.90; LVESV: 91±51ml vs. 117±70ml, p＜0.001，r=0.94）．また3DSTE法はLVEFを有意に過大評価した（42±15％vs. 38±17％，p=0.005，r=0.88）．一方両検査法でLVM計測値に有意差は認めず（126±37g vs. 123±48g, p=0.289），良好な相関を認めた（r=0.92）．Bland-Altman解析では平均誤差が-3.1g，誤差許容範囲が±39gであった．
【結論】
LVMの計測において3DSTEはCMRと同等の精度を有している可能性が示唆された．