Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 循環器
心機能/心不全 

(S502)

慢性腎不全の心機能への影響:ラットモデルを用いた検討

The effect of chronic renal failure on cardiac function in CKD rat model

中野 伸哉, 増田 佳純, 浅沼 俊彦, 中谷 敏

Shinya NAKANO, Kasumi MASUDA, Toshihiko ASANUMA, Satoshi NAKATANI

大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学講座

Division of Functional Diagnostics, Osaka University Graduate School of Medicine

キーワード :

【背景】
慢性腎不全(CRF)は,心血管疾患の重要なリスク因子である.また,近年,腎機能障害が比較的軽度な段階から心血管疾患の発生率や死亡率が増加することが報告されている.したがって初期のCRF患者における心機能異常の発見は重要だが,腎機能の低下と心機能の関係は十分に検討されていない.
【目的】
アデニン誘発慢性腎不全ラットモデルを用いて腎機能の低下が心機能に与える影響を検討する.
【方法】
雄性Wistarラット12匹に対し,生後7週齢よりアデニンを600 mg/kg/dayで10日間経口投与した.アデニン投与前及び投与後16週間経過時において血圧測定,心エコー図検査(GE社製Vivid 7 10Sプローブ)を行い,Mモード法より左室拡張末期径(LVIDd),左室収縮末期径(LVIDs),心室中隔厚(IVSd),左室後壁厚(LVPWd),左室心筋重量/体重比(LVmass/BW),左室内径短縮率(%FS)を,パルスドプラ法より左室流入血流速波形のE波(E),E波の減速時間(DT)を,組織ドプラ法より僧帽弁輪部拡張早期波速度(e’)を計測した.プロトコール終了後に採血を行い,クレアチニン(Cr)を計測し,比較検討した.
【結果】
アデニンを投与することでCrは,文献的に報告されている正常値に比べて高値を示し腎不全の発症が確認された.アデニン投与前と投与後16週経過時を比較すると,LVIDsは有意に増加したが, %FSには有意な変化は見られなかった(アデニン投与前vs.投与後16週:LVIDs; 5.8±0.4 vs. 6.2±0.2 mm, p<0.05,%FS; 50.0±3.8 vs. 53.2±6.4%,p = 0.23).E,e’は有意に低下し,DTは有意に増加した(アデニン投与前vs.投与後16週:E; 1.0±0.1 vs. 0.8±0.1 m/s, e’;4.4±0.4 vs. 3.6±0.6 cm/s, DT; 28.9±3.8 vs. 37.0±4.7 ms, p<0.05).
【結語】
アデニン投与ラットにおいて,腎機能障害の進展と拡張障害の発症が確認された.