Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 工学基礎
計測・熱的作用 

(S498)

超音波パワー測定(天秤法)における周囲温度の影響

Influence of the ambient temperature in the ultrasonic power measurement using the balance method

酒井 亮一, 蛯名 則和, 荒平 徳之, 内藤 みわ

Ryoichi SAKAI, Norikazu EBINA, Noriyuki ARAHIRA, Miwa NAITO

日立アロカメディカル株式会社第一製品開発部

Products R&D Department 1, Hitachi Aloka Medical, Ltd.

キーワード :

【背景】
超音波振動子の放射力を測定するためにはいくつかの手法が存在するが,数MHzの周波数帯においては重量天秤を用いた方法が標準化されている.
この手法は,超音波ビームの放射力を直接測定することが可能であり,ハイドロホンを用いて特定の平面の情報を積分する手法に比べ,勘弁でかつ再現性の高い方法である.
しかし実際の測定においては,使用する電子天秤の計測精度はもちろんのこと,実験系のアライメントや振動,温度による影響があり,それらを十分考慮して実験系を構築する必要がある.
今回,吸収型のターゲット(受圧板)を用いた,吊り下げタイプの天秤法における,周囲温度の影響を評価した.
【目的】
天秤法による超音波の放射力測定において,周囲温度に起因する誤差要因を分析し,測定精度との関係を調査する.
【方法】
超音波照射時および休止時において,電子天秤に吊るした受圧板の荷重変化と周囲温度の変化を同時に測定することによって,周囲温度に依存した測定結果の変動成分を同定し,その成分を除去した場合の測定精度の向上率を実測により求める.
【結果】
通常の画像診断に用いられる超音波診断装置の放射力を天秤法により測定する場合,周囲温度による影響が2〜5%(CV)存在した.
【考察】
天秤法による超音波放射力測定において,温度(室温,水槽内温度,受圧板温度)による影響は無視できない要素であり,これらの影響因子を弁別し,定量的に考慮する必要がある.
今回,周囲温度による影響を補正することによって,測定精度を向上できることが確認できた.しかし,今回の結果は,測定に用いる水槽の大きさや形状,材質などによっても変化すると考えられ,測定精度を向上するためには,それらの影響因子に注意して実験系を最適化することが望ましい.
更に,厳密には音響流や水槽内の対流も測定結果に影響すると考えられ,近年注目されるARFIなどの超音波出力を正確に測定するためには,上記の誤差要因を従来以上に考慮して測定する必要があると考えられる.
【参考文献】
[1]IEC 61161 Ed.3,2013: Ultrasonics - Power measurement - Radiation force balances and performance requirements