Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 工学基礎
画像化技術② 

(S489)

走査方向AAFの超並列マイクロプロセッサによる高速化

Speeding by a massively parallel microprocessor of scan way antialiasing filter

人見 康晴1, 村山 真実2, 須藤 孝紀1, 近藤 祐司3

Yasuharu HITOMI1, Makoto MURAYAMA2, Takanori SUDOH1, Yuji KONDO3

1株式会社ISTソフトウェアシステム事業本部仙台システム部, 2東杜シーテック株式会社テクニカルセクション.3, 3東北大学大学院工学研究科電子工学専攻

1System Enterprise Business Division Sendai System Department, IST-Software Co.,Ltd., 2Technical Section. 3, Tohto C-tech Corporation, 3Graduate School of Engineering Department of Electronic Engineering, Tohoku University

キーワード :

【目的】
超音波診断装置では,受信信号に走査変換を行うことで画像構築を行う.この時,受信信号の間引きによるエイリアスを防ぐためにアンチエイリアスフィルター(AAF)が施される.セクター画像における走査方向のAAFは深さ方向のAAFに対して複雑になりハードウェアコストが高くなる.そこで複数のプロセッサによる処理速度の比較を行い,ソフトウェア実装の可能性を見出すことを目的とする.
【方法】
一般的に受信信号のサンプルデータ数は画像ピクセル数よりも多く,データを間引いて表示する.その間引き率に応じた低域通過フィルターを施し,エイリアスによるモアレの発生を防ぐ必要がある.特に,走査方向では深さに応じて間引き率が異なるため,異なる特性のAAFを施す必要がある.図1,2は,走査方向エイリアスが発生している画像とそれをAAFにより除去した画像である.我々は,深さ方向,走査方向双方のAAFを含む画像構築をCPU,GPUおよび超並列MPU(マイクロプロセッサ)を用いて,ソフトウェアで実装し,処理速度を比較した.GPUは多数のコアで並列演算が実行できるプロセッサであり,超並列MPUはGPUと同様に多数のコアを有する組込み機器に使用可能なプロセッサである.
【結果】
表1に測定結果の平均値を示す.深さ方向AAF,走査方向AAFおよびDSCにおけるCPUに対する処理速度比はGPU1が25.7/41.4/31.9倍,GPU2が47.9/96.4/69.1倍,超並列MPUが10.0/7.9/2.7倍であった.また画像表示のフレームレートはCPUが3.2,GPU1が29.6,GPU2が33.6,超並列MPUが12.6であった.ただし今回の実装では画像構築全体において多くのCPU処理部分が含まれており,各プロセッサでの最高速度が得られている訳ではない.
【考察】
表2のプロセッサの性能比較から推定される処理速度に対して,超並列MPUは最大で7割程度の性能が出ていると見られる.ただし処理内容によってその性能発揮度は大きく異なり,ハードウェアを考慮した処理の最適化が不十分であると思われる.しかしながら多くのCPU処理部分を含んでいるにも関わらず,10フレーム/秒以上の描画性能が得られたことは,ソフトウェアによる画像構築処理が十分に可能であると思われる.