Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 工学基礎
画像評価 

(S480)

コンパウンドスキャンのおける画質特性

A special image quality on compound scan technic

坪内 隆将

Takamasa TUBOUCHI

社会医療法人厚生会木沢記念病院放射線技術課

Radiology, Kizawa Memorial Hospital

キーワード :

【背景】
現在,各種メーカーから様々な超音波装置が販売されており,各々の装置で多種多様に画質向上のためのシステムが登載されている.その中で,コンパウンドスキャンはデジタル機器の発展に伴い,一般的に用いられる機能となってきている.コンパウンドスキャンは主にコントラスト分解能の優れたエコー画像を描出することを目的としている一方で,方位方向の空間分解能の変化が懸念される.
【目的】
コンパウンドスキャンを使用することで,方位方向分解能及びSN比にどのような変化が見られるのかを確認・検討した.
【使用機器及び使用ファントム】
超音波装置:Aplio XG(東芝社製)表在臓器用探触子
自作ファントム:水槽底に吸音材を設置し複数個所にナイロン糸をはり,周囲を寒天グラファイトで固定したもの
【方法】
1)ファントム内のナイロン糸に対し垂直方向に探触子を固定し,点状に描出されるナイロン糸の信号の各々の高さにフォーカスを合わせる.その状態でコンパウンドスキャンを様々な強度で作動させて,ナイロン糸の部分をimage Jにて輝度値を方位方向に読み取り,これをFFT解析しMTFを求めた.2)ナイロン周囲の寒天部分においてSN比を算出し,各コンパウンドスキャンの強度の傾向をみた.
【結果】
コンパウンドスキャンを使用することによって,ノイズが軽減しSN比の向上が確認できた.一方でコンパウンドスキャンの強度を上げることでMTFの低下が確認できた.
【考察】
コンパウンドスキャンを用いかつ強度を上げることで方位方向の空間分解能の低下が確認できた.またその反面SN比の向上が確認でき,機器の特性を考慮すると今回の傾向は十分納得のいく結果となった.従来の近接した2点間の分解能を評価する方位方向分解能の評価法は,ノイズの軽減によりコンパウンドスキャンを使用することで一見向上する可能性がある.しかし本来の空間分解能を考えると,コンパウドスキャン使用の際,従来の方位方向分解能評価法では不十分となる可能性が示唆された.
【まとめ】
臨床上,コンパウンドスキャンは有効な手法であると考えられる一方でコンンパウンドスキャンの強度は画質に大きな影響を与えると考えられるため使用設定の際には注意を要する.