Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 工学基礎
マイクロバブル① 

(S474)

超音波内視鏡を用いた培養細胞への遺伝子導入

Introduction of plasmid into cultured cells with endoscopic ultrasound

富澤 稔1, 篠崎 文信2, 本吉 慶史3, 杉山 隆夫4, 山本 重則5, 石毛 尚起6, 吉田 孝宣7

Minoru TOMIZAWA1, Fuminobu SHINOZAKI2, Yasufumi MOTOYOSHI3, Takao SUGIYAMA4, Shigenori YAMAMOTO5, Naoki ISHIGE6, Takanobu YOSHIDA7

1独立行政法人国立病院機構下志津病院消化器内科, 2独立行政法人国立病院機構下志津病院放射線科, 3独立行政法人国立病院機構下志津病院神経内科, 4独立行政法人国立病院機構下志津病院リウマチ科, 5独立行政法人国立病院機構下志津病院小児科, 6独立行政法人国立病院機構下志津病院脳神経外科, 7独立行政法人国立病院機構下志津病院内科

1Department of Gastroenterology, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital, 2Department of Radiology, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital, 3Department of Neurology, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital, 4Department of Rheumatology, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital, 5Department of Pediatrics, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital, 6Department of Neurosurgery, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital, 7Department of Internal Medicine, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital

キーワード :

【目的】
超音波内視鏡(EUS)は胃癌の進展範囲と深達度の診断に優れている.超音波内視鏡を用いて遺伝子を導入することができれば消化管の腫瘍に対する遺伝子治療への発展が期待される.プレートに培養した胃癌細胞株にEUSを用いて遺伝子を導入することを試みたが,遺伝子の導入は不十分であった.原因として樹脂を透過する際に超音波が減衰する可能性が挙げられた.そこでそこで透析膜(セルロース,三光産業),OPP(oriented polypropylene,60μm,アックスコーポレーション)膜,ラッピーバッグ(polyethylene terephthalate樹脂+ポリスチレン=12:50,620μm,岩谷産業)に5mlピペットを切断して作成したチューブに接着させて細胞を培養する器具の作成を試みた.しかし医療用接着剤を初め,全ての接着剤により細胞が死滅した.ポリスチレン製の膜(190μm)が底面を構成する96孔FIAブラックプレート(Greiner Bio-One)はプラスチックとは異なり超音波の減弱が少ないことが期待された.そこで今回我々はこの96孔プレートを用いてEUSを用いて超音波を照射し,キャビテーションが生じる可能性を検討した.
【方法】
96孔FIAブラックプレートの1孔に0.1Mヨウ化カリウム25μlと10mg/mlのデンプン溶液25μlを混合した.超音波内視鏡診断装置GF-UCT260(Olympus)を用いて超音波を照射した.先端のバルーンを水にて膨らませてプローブをバルーン内の水を介してプレートの底から3mm(F),またはプローブをプレートの底に密着させて,連続1分間照射した.周波数は5MHzと12MHzを用いた.iMark Micirplate(Bio-Rad)にて490nmについて吸光度測定を行った.対象として過酸化水素を希釈した溶液を用いた.
【結果】
照射しない群,5MHz-F,5MHz-A,12MHz-F,12MHz-Aでは吸光度はそれぞれ0.0471±0.0025(平均±標準偏差),0.0483±0.0023,0.0480±0.0026,0.0484±0.0027,0.04950±0.0045であった(n=8).過酸化水素を104,105,106,107,108希釈した群では吸光度はそれぞれ0.1339±0.0046(平均±標準偏差),0.0626±0.0067,0.4800±0.0020,0.04625±0.0022,0.046±0.0025であった.
【考察】
照射しない群に比してEUSにて照射した群では吸光度が高値の傾向がみられた.EUSにて1分間超音波照射した群では過酸化水素を106希釈したものと同等のフリーラジカルが生じた可能性がある.今後ハイドロフォンを用いてEUSにて超音波照射した際の超音波の強度を測定する必要があると考えられた.