Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 工学基礎
血流・変位ベクトル計測 

(S469)

ビーム交差コントラストエコー法を用いた速度ベクトルの超音波測定

Measurement of the flow velocity vector by Crossed Beam Contrast Echo Method

大西 将馬, 池本 恭子, 渡辺 好章, 秋山 いわき

Shoma ONISHI, Kyouko IKEMOTO, Yoshiaki WATANABE, Iwaki AKIYAMA

同志社大学超音波医科学研究センター

Medical Ultrasonics Research Center, Doshisha Univ.

キーワード :

【はじめに】
本研究はビーム交差コントラストエコー法(Crossed Beam Contrast Echo Method: CBCE)を用いて血流の速度ベクトル計測を行うことを目的とする.従来ドプラ法で計測される血流速度は超音波ビーム方向への余弦成分である.速度ベクトル計測のためにはもう1方向の速度成分が必要となる.本手法は,周波数の異なる2つの超音波ビームの交差領域に存在するマイクロバブルを非線形振動させることによって発生する和音・差音成分を用いる.エコー信号における和音・差音成分には2つのビーム方向成分が含まれるため,第二高調波の余弦成分との連立方程式を解くことによって,速度ベクトルとして推定できる.本報告では内径4 mmの流路内にソナゾイド®を含む水流の速度ベクトルを測定したところ,設定した流速と一致したので報告する.
【測定法】
周波数f1とf2の超音波ビームを直交して交差させた場合,交差領域に存在するマイクロバブルの非線形振動によって発生する和音成分のドプラ周波数Δf+とf1の第二高調波のドプラ周波数Δf1を用いて速度ベクトルの正弦成分と余弦成分はそれぞれ次式で表される.
vcosθ=cΔf1/4f1
vsinθ=c{(1/2f1+1/4f2)Δf1-Δf+/f2}}
ここで,vは速度の絶対値,θは超音波ビームと流路のなす角度である.
【実験】
実験系は水槽を脱気水で満たし,送受波分離一体型の凹面振動子を水面から下方へ超音波を送波するように設置し,送波専用である平面振動子が水中でビームが直交するように設置した.内径4 mmのシリコーン製の流路を振動子の交差領域内に設置し,流路内にソナゾイド®を含む脱気水を循環させた.流速はチューブの高位から低位の方向を負方向とし,-10 mm/sに設定した.凹面振動子は3.2 MHz,20 kPa,8 cycle,平面振動子は2.0 MHz,15 V,10 cycleで駆動させた.したがって,和音成分は5.2 MHz,第二高調波成分6.4 MHzとなる.超音波ビームと流路のなす角度を55°から20°まで変化させた値と測定された流速値の関係を図に示す.
【まとめ】
速度ベクトルの測定を目的として,CBCE法を利用しソナゾイド®を含む流路に適用した.その結果ビームと流路のなす角度20°から55°の範囲において誤差10%以内で速度ベクトルを測定した.
【謝辞】
本研究は科研費基盤研究(C)(24500561)の援助を受けた.