Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

一般口演 工学基礎
血流・変位ベクトル計測 

(S468)

高フレームレート心臓超音波を用いた心腔内の血流速度ベクトルイメージング

Imaging of blood velocity vectors in cardiac cavity with high-frame-rate echocardiography

高橋 広樹1, 長谷川 英之1, 2, 金井 浩1, 2

Hiroki TAKAHASHI1, Hideyuki HASEGAWA1, 2, Hiroshi KANAI1, 2

1東北大学医工学研究科, 2東北大学工学研究科

1Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, 2Graduate School of Engineering, Tohoku University

キーワード :

【目的】
心臓ポンプ機能の評価のために,心腔内の血流の速度および方向は有益な情報である.特に,血液の渦状の流れの可視化は,ポンプ効率の評価に貢献する可能性がある.本報告では,高フレームレートで描出された血球エコーの2次元平面上の動きに基づき,血流速度ベクトルイメージングにより心腔内の渦状血流を可視化する.
【原理】
拡散波送信,受信ビーム並列形成およびPhase coherence weightingを用いて,心臓からのRFエコー信号を高フレームレートで計測する[1].RF信号の振幅に対してフレーム方向にハイパスフィルタを適用することで,血球以外の低速な組織からのエコー成分を低減する.さらに,血球からのエコー信号の画像コントラストを改善するために,フレーム方向のコヒーレンスを用いた重みづけをフィルタ後のエコー信号に適用する[2].重みづけされたエコー信号に関してスペックルトラッキング法を適用することで2次元血流速度ベクトルを計測する.
【結果】
血流速度ベクトル計測の精度に対する高フレームレート計測の効果を検証するために,定常流で流れる疑似血液を対象とした基礎実験を行った.平均流速0.6 m/sで管状流路(直径:8 mm)を流れる疑似血液からのエコーを,フレームあたりの拡散波の送信回数を1回とすることで6024 Hzの高フレームレートで計測した.フレームを間引いて解析を行うことで,3012,2008,および1506 Hzのフレームレートにおける計測を模擬した.図(a)は各フレームレートに関してスペックルトラッキング法により計測された平均流速を示す.フレームレートの向上とともに計測精度が改善していることが確認された.さらに,男性健常者の心尖部像において左室内腔からのエコー信号を6250 Hzの高フレームレートで計測した.図(b)に示されるように,計測された血流速度ベクトルの空間分布により拡張期における心腔内の渦状血流の可視化を達成した.
【結論】
高フレームレートで計測された血球エコーの2次元的な動きを用いて,心腔内の渦状血流を可視化できることを示した.
【参考文献】
[1]Hasegawa and Kanai: IEEE Trans UFFC, 2014.
[2]Takahashi, et al.: Jpn J Appl Phys, 2014.