Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

ワークショップポスター
消化器 腹部悪性腫瘍の早期診断の限界と見逃してはいけない所見 肝細胞癌

(S454)

術前診断可能であった早期胆嚢癌における超音波所見の検討

Study of ultrasound findings in the preoperative diagnosis possible which was early gallbladder cancer

宮田 英樹

Hideki MIYATA

愛媛県立中央病院消化器内科

Department of Gastroenterological Medicine, Ehime Prefectural Central Hospital

キーワード :

【背景】
早期胆嚢癌の術前診断は困難であり,胆石などによる腹腔鏡下胆嚢摘出術によって偶然に診断されることが多い.今回われわれは,術前に診断可能であった早期胆嚢癌において,超音波画像を検討し早期胆嚢癌における超音波画像の特徴についてまとめた.
【対象と方法】
2006年1月から20014年12月の8年間で経験した早期胆嚢癌42症例45病変を対象とした.平均年齢73.2(41-87),男女比15対27であった.胆石保有率は8例(19%)であった.粘膜にとどまるpT1a病変は33病変,固有筋層にとどまるpT1b病変は12病変であった.形態的には,Ⅰp 9例(20%),Ⅰs 12例(26.7%),Ⅱa 17例(37.8%),Ⅱb 7例(15.5%)であった.急性胆のう炎の胆嚢胆汁細胞診で確定診断が得られた2病変(Ⅱa型1病変,Ⅱb型1病変)を除いた43病変において,体外式超音波検査あるいは超音波内視鏡検査での形態を有茎性隆起型,広基性隆起型,壁肥厚型および分類不能型(他病変の併存あるいはデブリ様エコーなど)に分類した.そのうえで,表面の性状(整あるいは不整・乳頭状),内部エコーレベル,周囲粘膜の肥厚所見などについて検討した.
【結果】
Ⅰp型9病変では,広基性隆起型2例を除いて残り7病変はすべて有茎性隆起型であった.表面は7病変は整(平滑)で2病変は不整であった.内部エコーレベルは肝臓と等エコーレベルのものが4病変,ほか5病変は低エコーレベルであった.周囲粘膜の肥厚所見を2病変に認めたが,いずれも癌ではなかった.深達度は3病変が腺腫内癌,3病変がm癌,残り3病変はmp癌であった.Ⅰs型12病変では,広基性隆起型8病変,有茎性隆起型2病変,壁肥厚型2病変であった.表面は全病変で不整あるいは乳頭状であった.内部エコーレベルもすべて低エコーであった.また,周囲粘膜壁肥厚は6病変で肥厚所見を呈し,癌が表層進展していた.深達度は8病変がm癌,4病変がmp癌であった.Ⅱa型16病変では,15病変が壁肥厚型,1病変はデブリ様エコーであった.表面平滑なものが2病変,ほかはすべて不整あるいは乳頭状であった.エコーレベルは全病変低エコーレベルであった.周囲粘膜肥厚所見は14病変で肥厚していた.深達度は12病変がm癌,4病変がmp癌であった.Ⅱb型6病変では,壁肥厚型が1例以外は,すべて分類不能型4病変でデブリ様エコーであった.深達度はm癌が6病変であった.
【考察】
有茎性早期胆嚢癌以外は,低エコー,表面不整あるいは乳頭状で周囲粘膜肥厚所見が早期胆嚢癌に特徴的所見であると思われた.Ⅱb型早期胆嚢癌を指摘は困難であり,デブリ様エコーが発見の契機になりうると考えられた.また,有茎性早期胆嚢癌は,ほかのポリープとの鑑別が困難な症例が含まれることが多いと思われた.
【結語】
Ⅱb型早期胆嚢癌の発見には,併存病変を念頭にUSを行うことに加えて,デブリ様USが重要であると考えられた.