武田 智弓^{1, 2}, 黒田 英克², 阿部 珠美², 及川 隆喜², 三上 有里子^{1, 2}, 菅野 謙³, 神山 直久⁴, 石田 秀明⁵, 滝川 康裕², 諏訪部 章⁶

Chiyumi TAKEDA^{1, 2}, Hidekatsu KURODA², Tamami ABE², Takayoshi OIKAWA², Yuriko MIKAMI^{1, 2}, Ken KANNO³, Naohisa KAMIYAMA⁴, Hidekaki ISHIDA⁵, Yasuhiro TAKIKAWA², Akira SUWABE⁶

¹岩手医科大学中央臨床検査部, ²岩手医科大学内科学講座消化器内科肝臓分野, ³GEヘルスケアジャパン株式会社超音波担当, ⁴GEヘルスケアジャパン株式会社超音波製品開発部, ⁵秋田赤十字病院超音波センター, ⁶岩手医科大学臨床検査医学講座

¹Central Clinical Laboratory, Iwate Medical University, ²Division of Hepatology, Department of Internal Medicine, Iwate Medical University, ³Ultrasound System Group, GE Healthcare Japan, ⁴Ultrasound Engineering, GE Healthcare Japan, ⁵Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital, ⁶Department of Laboratory Medicine, Iwate Medical University

キーワード :

【背景】
GE Healthcare社より製品化されたshear wave elastography（SWE）は，櫛状複数プッシュパルスにより発生したShear wave伝播速度の定量化と二次元マッピング化を実現し，慢性肝疾患における肝繊維化診断への有用性が期待されている．しかし，SWEの再現性や信頼性に関する報告は未だ限られている．今回我々は，複数検査者によりSWEを用いて健常者の肝硬度を測定し，同一検査者内再現性，複数検査者間信頼性の検討を行った．
【対象と方法】
対象は本研究に同意を得た肝疾患既往のない健常成人30例．男性17例，女性13例．平均年齢37.6歳．高度肥満や脂肪肝例は対象より除外した．使用器機はLOGIQ E9（GE Healthcare）．探触子はC1-6-Dプローブ（4 MHz）．検査者は日本超音波医学会認定超音波検査士2名．背臥位，右肋間走査で自然な呼吸停止の上，ROIの中央を3.5 cm以深に設置し，肝右葉のShear wave伝播速度を測定した．測定は同一部位で10回連続して行い，平均値を最終測定結果とした．定性的再現性を評価するため，取得した10回のカラーマップ画像の特徴を比較した．また，定量的な同一検査者内の再現性および複数検査者間信頼性の評価については，級内相関係数（Intraclass correlation coefficients: ICC）を用いて検討した．
【結果】
（1）SWEによる連続反復検査の73.3％（検査者1），76.7％（検査者2）につき，10回すべてが外見8割以上類似したカラーマップ画像所見であると判定された．（2）検査者1による全被験者の測定値の平均値は1.268±0.097 m/s，検査者2は1.267±0.081 m/sで両者に統計学的有意差は認めなかった．（3）級内相関係数は検者内再現性を示すICC（1.10）が2名の検査者でそれぞれ0.939，0.925であり，検者間信頼性を示すICC（2.2）が0.889（95％信頼区間:0.76-0.95）であった．
【結語】
SWEを用いた肝組織硬度測定は，統計学的に高い検者内再現性と検者間信頼性を示した．