Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

ワークショップポスター
消化器 肝臓の硬さ診断:その精度と使途 GE

(S442)

Direct Strain Elastographyを用いた慢性肝疾患の進行度の評価

Evaluation of chronic liver diseases by direct strain elastography

田尻 和人, 河合 健吾, 峯村 正実, 杉山 敏郎

Kazuto TAJIRI, Kengo KAWAI, Masami MINEMURA, Toshiro SUGIYAMA

富山大学附属病院第三内科

The Third Department of Internal Medicine, Toyama University Hospital

キーワード :

【はじめに】
Elastographyは乳腺や甲状腺などの体表臓器の硬度診断において有用な検査法であるが,腹部臓器におけるその有用性が現在議論されている.GE社のDirect Strain Elastography(DSE)は通常のBモード観察時に簡便に施行でき,硬度をElasticity Index(EI)値で表示可能であるが,びまん性肝疾患の評価では十分に評価されていない.今回慢性肝疾患のスクリーニング時にDSEを施行し,肝生検での線維化の程度や他の臨床パラメーターとの相関につき検討した.
【対象と方法】
2013年10月から2014年11月までに当科で肝エコーを行った患者417名.使用装置:GEヘルスケア社製LOGIQ E9,使用探触子:9L(9MHzリニア型),プローブは軽く皮膚に当てる程度とし右肋間より肝右葉を走査し,Bモードでアーチファクトがない肝表より2cm程度の描出ポイントを設定し,軽いプローブ圧迫でElasto像を取得した.脈管などを避けてROIを設定しEIを記録した.EIと血小板数,血清ALT値,ヒアルロン酸(HyA),タイプⅣコラーゲン7S(Ⅳ7S),肝生検組織でのActivity(A)およびFibrosis(F)との関連につき検討した.
【結果】
肝組織が得られた135例においてEIの平均値はF0: 2.05(n=11), F1: 2.54(n=41), F2: 2.98(n=20), F3: 3.94(n=14), F4: 3.93(n=49)であり,線維化の進行とEIに相関を認めた.しかし,EIには症例毎のばらつきもみられ,症例数が少ないとF因子での層別化が困難となる傾向がみられた.またEIと血小板数には負の相関(r: -0.418,p<0.001)が認められ,HyA・Ⅳ7Sとは正の相関(r: 0.439,0.395,respectively, p<0.001)が認められた.ALTとの相関(r: -0.038,p=0.441)は認めなかった.一方HyA・Ⅳ7SはALTと正の相関(r: 0.165,0.322,respectively, p<0.01)がみられた.
【考察および結語】
DSEによるEIは肝線維化と相関が認められた.HyA・Ⅳ7Sなどの線維化マーカーは炎症により影響を受けるが,EIは炎症の影響が少ないと思われた.DSEは通常のBモード観察時に簡便に測定可能であり,線維化の進行度を類推するのに有用な検査である.