Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 運動器
パネルディスカッション 運動器 関節リウマチの日常検査法を考える

(S402)

患者希望を取り入れた関節超音波検査評価部位の決定

Joints set of musucloskeletal ultrasonography - Based on patients demand

豊田 行健1, 峯岸 薫1, 浜 真麻1, 吉見 竜介1, 岳野 光洋2, 上田 敦久1, 石ヶ坪 良明1

Yukihiro TOYOTA1, Kaoru MINEGISHI1, Maasa HAMA1, Ryusuke YOSHIMI1, Mitsuhiro TAKENO2, Atsuhisa UEDA1, Yoshiaki ISHIGATSUBO1

1横浜市立大学大学院医学研究科病態免疫制御内科学, 2横浜市立大学附属病院臨床検査部

1Department of Internal Medicine and Clinical Immunology, Yokohama City University Graduate School of Medicine, 2Clinical Laboratory Department, Yokohama City University Hospital

キーワード :

【目的】
関節超音波検査(US)は,関節リウマチ(RA)領域において有用なツールであると認められており,適切な評価部位について多数の報告がなされている.しかし,これらのなかで患者の希望を取り入れた評価部位の報告は少なく,今回患者にUSによる評価部位の希望を調査し,これらから患者の希望を取り入れた評価部位を検討した.
【方法】
2014年7-10月にUSを施行したRA患者56例(女性82%,年齢62±15歳,罹病期間7.2±8.2年,DAS28-ESR 3.95±1.65)を対象に,アンケート調査を実施し,USを施行してほしい部位を調査した.また,当科で実施したリウマチ専門医200名へのアンケート調査の結果から,USが有用だと思う部位のデータを抽出し,両者を比較した.
【結果】
アンケートに対する有効回答は,患者で75%(n=42),医師で34%(n=68)であった.患者アンケートの結果,患者がUSを施行してほしい部位としては手(n=36,86%)が一番多く,次いで順に手指(n=26,62%),膝(n=25,60%),足(n=23,55%),肩(n=18,44%),肘(n=8,19%),足趾(n=6,14%),股(n=3,7%),その他(n=0,0%)となった.それに対し,医師アンケートの結果より医師がUSによる評価が有用だと思う部位としては手(n=63,93%)が多く,次いで手指(n=53,78%),膝(n=44,65%),肩(n=31,46%),肘(n=31,46%),足(n=29,43%),足趾(n=25,37%),股(n=10,15%)の順となった.
【考察】
手,手指,膝の3部位は患者および医師の両者とも半数以上が施行してほしいもしくは有用であると答えている点から,これら3つの部位は患者がUSによる評価を望みかつ医師が有用であると思う部位であることが分かった.これら3つの部位以外で特に足関節についてみると,患者の希望と医師が思うUSへの有用性との乖離が見られた.この要因としては足関節の構造が複雑であること,またDAS28による評価関節に含まれていないことが挙げられる.当科ではUSの評価部位として手,手指,膝をルーチンとして施行しているが,以前に行った解析で,このルーチン部位に足関節を加えた場合56例中16例(29%)で足関節にUS上陽性所見が認められ,これらの症例でVASによる足関節の主観的な疼痛の度合いが高く,これらのことからルーチンの評価部位に含まれなくとも患者の訴えにより適宜評価部位を加えることが重要であると考えられた.
【結論】
日常臨床では,手,手指,膝の3部位を中心にUSを施行し,患者が痛みを訴える部位を追加して実施することが有用であると考えられる.