Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 運動器
パネルディスカッション 運動器 関節リウマチの日常検査法を考える

(S402)

当院における関節超音波検査の現状

Utilization of musculoskeletal ultrasonography in our clinic

高島 千絵

Chie TAKASHIMA

宇多津浜クリニック検査科

Clinical Laboratory, Utazu Hama Clinic

キーワード :

【はじめに】
当院では2007年3月から関節超音波検査を導入している.検査の現状と将来像についてディスカッションするにあたり,当院の2014年の実施状況を提示したい.
【施設規模】
医師数:常勤4名/非常勤6名,病床数:19床(一般),1日平均外来患者数:151.6名,関節リウマチ患者数:1403名.
【検査の実際】
○検査担当者
臨床検査技師3名が担当している.
○検査件数と検査目的(図1)
2014年の関節超音波検査件数は531件であり,月平均は約44件であった.なお,現在香川県では保険適応がいまだ認められていないが,認められた場合は件数が増える可能性がある.
○観察関節(図2,図3)
原則は,手指および手関節の背側と掌側は全例で実施している.それに加えて医師から依頼された関節,疼痛や腫脹がある関節,過去に所見を認めた関節を観察している.検査や診察の状況によっては,単関節のみの場合もある.疑われている疾患によっては,高率に罹患する関節を積極的に観察するようにしている.
○検査の実施
原則予約制で,予約枠は1時間としている.1時間としている理由は,観察関節が多くてもほとんどの症例が1時間以内で終了できること,初診で来られた症例などの当日予約も実施できるようにするためである.
○検査時間(図4)
観察関節が多いほど,検査時間も長くなるが,平均すると左右1領域あたり10〜15分程度で実施している.
○使用装置
関節超音波検査はBモード法での構造物の把握と,パワードプラ法での血流シグナル検出感度が重要であるため,当院にあるTOSHIBA社製の超音波装置3台のうち,Aplio300を使用している.最適な設定によりどの装置でもほとんどの血流シグナルは検出可能だが,装置によっては検出できない関節もあるので,検出感度のより高い装置を使用している.
○評価方法
日本リウマチ学会のガイドラインにそって,超音波所見をGrade評価している.検者内・検者間の評価,検者間の描出能は,いずれもκ係数0.8程度で高い一致率となっている.
【医師との連携】
医師と技師で月に1度カンファレンスを実施し,意見交換や見解の統一を行っている.症例ごとに,診断や治療薬の動きなどをまとめ,保存している.
【まとめ】
非常に有用な検査である関節超音波検査をより効率的に実施するため,観察関節の選択や検査環境の整備などをこれからも検討し実施していきたい.