英文誌(2004-)
特別プログラム 血管
ワークショップ 血管2 臨床の現場から見た血管エコーガイドラインの役割と課題
(S388)
血管エコーガイドライン作成に関わる共通課題
Common issues related to vascular ultrasound guidelines
濱口 浩敏
Hirotoshi HAMAGUCHI
北播磨総合医療センター神経内科
Department of Neurology, Kita-harima Medical Center
キーワード :
血管エコーは現在日常臨床で広く用いられるようになっており,目的により様々な領域で施行されている.今までは各施設において独自の検査法や評価法を用いているのが現状であったことから,統一された評価法の必要性がささやかれるようになった.日本超音波医学会においては,2008年に「超音波による頸動脈病変の標準的評価法(案)」が発表され,以後順次各血管エコー領域において標準的評価法が作成された.現在では,頸動脈,深部静脈血栓症(下肢静脈),大動脈・末梢動脈,腎動脈超音波検査における標準的評価法が発表され,頸動脈と下肢静脈については改定作業中である.
血管エコーガイドラインの使用目的については,検査法に対する標準的評価と,診断あるいは解釈に対する標準的評価の二つの側面があり,各々重視している点は何かを理解して使用する必要がある.血管エコー全体を通して考えられる共通課題として,装置の問題,検者の問題,解釈の問題など様々な要因があると思われる.装置については以前に比べて格段に描出能が向上しているが,客観性の問題があり,装置間で見え方が異なる.検者については意思統一した教育体制が必要であり,装置に対する習熟度を高める必要がある.所見の解釈については独自の解釈を展開するのではなく,エビデンスに基づいた解釈を基礎に置く必要がある.今回,血管エコー全体における評価法についての問題点を抽出し,各領域で統一できる部分を模索したい.