Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 血管
パネルディスカッション 血管2 ここまで観る!血管エコーの極意

(S381)

血管エコーの極意〜静脈エコー〜

The essence of venous echo

久保田 義則

Yoshinori KUBOTA

北播磨総合医療センター中央検査室

Central Laboratory, Kitaharima Medical Center

キーワード :

【はじめに】
VTE診断に必須の検査法としての位置づけが浸透し,術後VTE予防の重要性がクローズアップされていることから,下肢静脈エコー検査の必要性は増大の一途にある.
【エコー検査に求められるもの】
エコー検査では血栓を直接観察することができる利点があるが,検査者の技術較差と検査時間を要することが難点となる.
【検査目的と検査手順・評価】
検査目的は①血栓の有無を確認することにあるが,②続発疾患や関連疾患に関する情報収集の機会でもある.通常の検査手順では,そけい部の観察から始めて末梢に検査範囲を広げてゆくが,視診・触診や緊急性を鑑みて手順を変更する方法が推奨される.病態を十分に把握でき,経験豊富な検査者の場合には,観察ポイントを絞る方法も容認される.静脈血栓が見られた場合は,血栓の生成時期推定と,血栓の可動性評価が必須となる.静脈血栓は,生成当初は低エコー輝度で血管閉塞を来たし,時間経過に伴い血栓のエコー輝度が上昇し,周囲に血流腔が出現する.ただし,エコー輝度は周囲の組織等に影響されるので慎重に評価する必要がある.静脈瘤評価依頼の場合には,深部や表在静脈の血栓検索と,静脈径計測と主要弁不全の有無評価が必須となる.下肢腫脹が主訴の場合には,腫脹の範囲把握と,血栓等占拠性病変の有無,静脈逆流の有無評価が必要となる.
【患者主体観点から安全性と予見性を把握】
患者の病態を診るという観点から検査を行うと,血栓を捜す以外の評価ポイントが見えてくる.静脈血栓の安定性評価は,その後の治療方針に大きく関与し,静脈逆流は今後の静脈還流不全を予見させる.動脈硬化が強く疑われる患者の場合には,動脈瘤や狭窄・閉塞のスクリーニングとしての触診やエコー観察も,患者に有益な場合がある.数%の症例であっても,動脈瘤や可動性粥腫を指摘することができれば,患者にとって有益な情報となる.
【必要な情報を効率よく収集】
エコー検査は,状況に応じて効率よく必要な情報収集を行い,時短を図る.他の検査情報なども事前に把握した上で検査を開始し,通常検査手順を手際よく終えた後に,エコーに必要とされる情報収集を優先的に行い,事前情報と併せて情報が揃ったところで終了する.