Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 血管
パネルディスカッション 血管1 臨床医に伝える血管エコーレポート〜何を見て何を伝えるか?〜

(S377)

臨床医に伝える血管エコーレポート

Vascular echo repots in vascular access communicate to the clinicians

菊地 実1, 2

Minoru KIKUCHI1, 2

1萬田記念病院放射線科, 2札幌医科大学大学院分子・器官制御医学専攻

1Radiology, Manda Memorial Hospital, 2Molecular and Organ Regulation, Sapporo Medical University Graduate School

キーワード :

【VAの何を見るか】
Vascular Access(VA)は,透析患者にとって命綱であり正常な機能を維持しなければならない.したがってVAエコーの役割は,VAが正常に機能しているか,異常がある場合はその原因は何かを見ることである.
【VAエコーで何を伝えるか】
VAエコーのレポートは,VAの形態と機能を透析スタッフへ伝える手段である.記載内容は,血管走行,血管径,末梢血管抵抗指数(RI),血流量などエコーで得られた情報をその証拠して説明する.したがって,説得力のある画像と説明力(文章力)が必要となる.
【臨床で活用されるレポート】
当院のVAエコーレポートは,患者のシャント肢の写真上に血管走行図を書き込み,直感的に内容が把握できるような形式としており,現在の形式となるまでに試行錯誤を繰り返した.VAエコーの開始当初からレポートは電子カルテに記録しており,閲覧環境は整っているため透析スタッフは当然レポートを閲覧していると思い込んでいたが,実際には医師以外は閲覧していなかった.その理由は,エコー画像の見方が分らずレポート内容が理解できないためであった.そこで透析スタッフの要望を取り入れ現在のレポートの形式となった.(写真)その結果,透析スタッフのレポート閲覧率は向上し臨床で活用されるようになった.
【レポート作成のコツとワンポイントアドバイス】
自己血管内シャントの場合は単純なものから複雑なものまで血管走行は多種多様であるため,プローブを当てる前に視触診で大まかな走行を把握し走行をスケッチしておく.さらに複雑な分岐部分などは動画を保存して照らし合わせながら血管走行のマップを描画する.静脈弁や瘤の位置など場所を正確に伝えるために患者のシャント肢皮膚に直接マーキングを行う場合もある.血管径の表現はあまり神経質にならず,太い細いが一見で分るような記載を心掛けている.穿刺トラブルでは,十分な血管径があるにも関わらず起ることがあり,血管走行が起因となる場合がある.蛇行,分岐によって起こり得るトラブルの可能性もワンポイントアドバイスとしてレポートに記載するとトラブルの回避に役立つことがある.
【最後に】
VAのレポートは,臨床医のみならず看護師,臨床工学技士などの透析スタッフに活用される生きたレポートが必要である.