Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 血管
シンポジウム 血管 Vascular accessの管理と治療にエコーを活かす

(S374)

バスキュラーアクセス閉塞に対する超音波ガイド下PTA757例の検討

Ultrasonically Guided PTA in the Treatment of Vascular Access Occlusions : A Review of 757 Cases

若林 正則

Masanori WAKABAYASHI

望星第一クリニック血管外科

Vascular Surgery, Bousei Daiichi Clinic

キーワード :

【背景・目的】
バスキュラーアクセス閉塞に対し当院にて超音波ガイド下に経皮的血管拡張術(percutaneous transluminal angioplasty : PTA)を行った症例について,初期成績からその有用性を検討した.
【対象】
2004年4月より2014年6月の間に当院にてバスキュラーアクセス不全に対して施行したPTA 10830例(いずれも超音波ガイド下を第一選択としている)のうち閉塞例に対して行った757例を対象とした.757例の内訳は,自家静脈急性閉塞が109例,慢性閉塞が83例であった.人工血管急性閉塞が553例,慢性閉塞が12例であった.
【方法・手技】
超音波装置は主にGE横河製Logiq S6またはLogiq S7リニア型探触子11MHzを使用.尚,鎖骨下,腕頭静脈に対しては肋間よりマイクロコンベックス型探触子を用いた.閉塞例に対し表在超音波ガイド下に血栓吸引または血栓除去を行った後,表在超音波ガイド下にPTAを行った.
【結果】
初期成功(透析可能となった)は人工血管例553/565例(97.9%),自家静脈例180/192例(93.8%)であった.早期閉塞(2週間以内)は人工血管急性閉塞41/565例(7.3%),自家静脈慢性閉塞1/192例(5.2%)であった.
術中透視補助が必要であった症例は9例で,6例がワイヤー通過困難,3例がステント留置のためであった.外科的再建が必要であった症例は7例であった.合併症:外科的処置を要する重篤な合併症を4例に認めた.
【考察】
従来主流とされてきた透視,造影下のインターベンションの初期成績,合併症の発生率と比較して,閉塞病変での超音波ガイド下治療の成績は遜色ないものであった.超音波では造影剤の通過しない病変においても,安全,確実に血管内腔をとらえられるためであると考えられた.人工血管では術後早期の閉塞が多く認められた.人工血管では血栓量が多いことが多く,不安定な残存血栓が早期閉塞を惹起しやすく,PTA後の残存血栓溶解や十分なfollow upが必要と考えられる.
【結論】
閉塞病変においては超音波ガイド下の治療は,安全性,確実性において優れていると考えられた.