Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 泌尿器
ワークショップ 泌尿器1 泌尿器疾患における造影超音波および血流評価の新たなる可能性

(S364)

泌尿器疾患における造影超音波の新たなる可能性:腎疾患

The indication of contrast enhanced ultrasound for renal disease: proposal from urologist

中井川 昇

Noboru NAKAIGAWA

横浜市立大学泌尿器科

Department of Urology, Yokohama City University Graduate School of Medicine

キーワード :

腎腫瘍の診断,治療に携わる泌尿器科医にとって簡便に標的病変の血流を評価できる造影超音波検査は将来的には様々な場面で応用が可能な新たな診断ツールと考えられる.本邦において腎疾患に対する本検査の保険適応が認められていないという現状ために国内からのエビデンスとなる報告は少ないが,泌尿器科医としてその将来像について言及したい.
腎に腫瘤性疾患を認めた初期診断においては腎機能が低下しているためにCTスキャンやMRIによる造影が困難な症例,嚢胞性疾患との鑑別が困難な症例,更には近年増加傾向にある小径腎癌症例において本検査は有用と思われる.また,近年見直されている腎腫瘍に対する経皮的針生検の際には本検査を用いることによって壊死組織や変性化した組織を避けて病理診断に適した腫瘍組織を採取することでその診断率を上げられる可能性がある.更に,手術が困難な進行性腎癌に対する現在の薬物療法の主役は血管新生阻害を目的としたtyrosine kinase inhibitor(TKI)であるが,その効果は現在CTスキャンにて評価を行うことが多く,被曝量,造影剤の問題から頻回な評価が困難である.安全かつ簡便に血流評価が行える本検査による評価を併用することによって,経時的に血管新生阻害剤の血管阻害効果を評価し,適切な薬剤の選択や容量設定に活用することができれば,効率の良い治療選択と過剰な薬物投与による進行性腎癌患者の生活の質の向上が可能になるのではないかと期待される.
本ワークショップではこれらの可能性を想定した上で諸家の報告を紹介し,腎腫瘍診療における造影超音波検査の将来像についてディスカッションをしたいと考えている.