Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 乳腺甲状腺
パネルディスカッション 乳腺甲状腺2 B-modeのみでは判定困難な甲状腺疾患-血流情報とエラストの臨床応用-(JABTSとの共同企画)

(S346)

甲状腺濾胞癌診断における超音波ドプラの有用性

The usefulness of Doppler methods for diagnosis of thyroid follicular carcinomas

福島 光浩1, 太田 寿2, 小林 薫1

Mitsuhiro FUKUSHIMA1, Hisashi OTA2, Kaoru KOBAYASHI1

1隈病院外科, 2隈病院臨床検査科

1Department of Surgery, Kuma Hospital, 2Department of Clinical Laboratory, Kuma Hospital

キーワード :

【背景】
現在一般的に普及している超音波機器にはドプラ機能が備わっており,現状においてドプラ法が診断に有用と考えられる甲状腺の結節性病変としては,①濾胞性腫瘍の診断(濾胞性腫瘍は腺腫様結節に比較して血流シグナルが多い.)②悪性リンパ腫と嚢胞の鑑別 ③嚢胞形成乳頭癌の診断 ④硝子化索状腫瘍の診断 ⑤腫瘍塞栓の診断などがあり,日常診療でも一般的に利用されている.濾胞癌の術前診断が従来の方法ではほとんど困難であることはよく知られているが,ドプラを用いて腫瘍内の血流を評価する方法が濾胞癌の超音波診断に有用でありBモード所見との組み合わせると感度,特異度が上がるとされている.特に近年パルスドプラFFT解析(PI;(Vmax-Vmin)/Vmean,RI;(Vmax-Vmin)/Vmax))が有用であるとの報告が一部の施設からされており,その有用性の検証が必要とされている.
【対象・方法】
2013年11月から2014年12月までの手術症例のうち術前超音波検査で濾胞性腫瘍とされた症例を無作為に抽出し,通常の超音波検査に引き続きPI,RIを測定した.最終病理診断で濾胞癌と診断された14例(広範浸潤型6例・微少浸潤型8例)のPI,RIを濾胞腺腫,腺腫様甲状腺腫,腺腫様結節と診断された139例を対照としその有用性を検証した.全症例の手術時平均年齢と性別は51.3±15.5歳(11-84歳),男性28例,女性125例.全腫瘍の平均長径は43.3±14.2mm(15-117mm).最終病理診断で乳頭癌やその他の悪性腫瘍とされたものと,FT-UMP WDT-UMPなどの境界領域腫瘍とされたものは対象から除外した.
【結果】
ROC曲線(Receiver Operatorating Characteristic curve;受信者動作特性曲線)を用いて設定されたPIのcut-off値:0.93,感度(=特異度):0.703,ROC曲線下面積(AUC; area under the curve):0.756±0.076だった.同様にRIのcut-off値:0.60,感度(=特異度):0.712,ROC曲線下面積(AUC; area under the curve):0.759±0.077だった.
【考察】
今までの報告では悪性が示唆されるPI,RIのcut-off値はおおよそPI>1.0〜1.3,RI>0.7〜0.8であり,今回の検討ではPI,RIともに報告の値より若干低かった.また,感度(=特異度)も満足できる結果ではなかった.腫瘍内血流のパルスドプラFFT解析は微小血管をターゲットにしているため測定に手間がかかり,多数症例を扱う施設でルーチンに全症例に行うにはコストパフォーマンスが問題になる.そのため当院でもルーチンに施行してはいない.早急に多施設において多数症例を用いた評価を行いその有用性を検証すべきと考えられた.