Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 乳腺甲状腺
シンポジウム 乳腺甲状腺3 Comprehensive ultrasound in breast(JABTSとの共同企画)

(S334)

Category3,4症例に対し血流,硬さ情報をどういかすか?

How to use the infomation of vascularity and hardness for Category3,4 cases

伊藤 吾子, 周山 理紗, 三島 英行

Ako ITOH, Lisa SUYAMA, Hideyuki MISHIMA

株式会社日立製作所日立総合病院乳腺甲状腺外科

Department of Breast and Thyroid Surgery, Hitachi General Hospital

キーワード :

乳房超音波の基本はBモードであるが,Doppler, Elastographyが搭載された機器では,血流や硬さの情報を加味して診断を行う.当院では2004年よりこれらの情報を踏まえた診断を行ってきた.最近の機器は血流感度が良く,情報が多い故に良悪判断に迷う症例もある.Category3,4症例のうち血流,硬さ情報が一致した症例,乖離した症例について検討した.
【対象】
2013年5月〜2014年11月に当院の外科外来で初回の超音波検査を行い,明らかな嚢胞を除く所見のあった481例(悪性212例,良性269例).
【方法】
BモードにてCategory判定の後,Color Dopplerにて血流を4段階(avascular, hypovascular, vascular, hypervascular)に判定,RTEにてTsukuba Elasticity Score判定した.Category3,4症例について血流はavascular,hypovascularを血流少,vascular,hypervascularを血流多とし,硬さはScore1,2をsoft,Score4,5をhardとし,血流,硬さと診断結果について検討した.Score3症例は検討から除いた.使用機器は日立アロカ社製Ascendus,L75,血流感度は3.65cm/s.
【結果】
BモードにてCategory2とした67例は全て良性,Category5とした105例は全て悪性であった.Category3とした230例のうち良性は180例(78.3%),悪性は50例(21.7%),Category4とした79例のうち良性は19例(24.1%),悪性は60例(
75.9%)であった.Category3,4症例に対し,硬さのみを用いると感度94.7%,特異度69.9%,血流のみを用いると感度80%,特異度42.9%であった.Category3,4症例のうち血流少かつsoftは74例であり全て良性であった.血流多かつsoftは49例であり良性は44例(89.8%),悪性は5例(10.2%)うち4例は非腫瘤のDCISであった.血流少かつhardは43例であり良性は24例(55.8%),悪性は19例(44.2%)であった.血流多かつhardは94例であり良性は23例(24.5%),悪性は71例(75.5%)であり,良性のうち14例は乳管内乳頭腫であった.
【考察】
非腫瘤ではsoftであっても血流豊富な場合はDCISを否定できない.腫瘤でsoftは血流豊富であっても良性の可能性が非常に高い.hardな病変は濃縮嚢胞を除いて血流に関わらず細胞診,針生検を要する.乳管内乳頭腫はhardかつ血流豊富であることがあり,過剰治療に注意が必要である.
【結語】
腫瘤では硬さを重視し,非腫瘤では血流を重視することで偽陰性は防げる.偽陽性に対しては針生検等で対応可能である.また,Bモードで診断可能であれば血流,硬さはあくまで参考である.