Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 乳腺甲状腺
シンポジウム 乳腺甲状腺2 乳房超音波検診の意義を考える/J-START(厚生労働科学研究委託費(革新的がん医療実用化研究事業 乳がん検診における超音波検査の有効性検証に関する研究))の結果からの提言(JABTSとの共同企画)

(S330)

超音波検診で検出される乳癌のサブタイプ

Breast cancer subtype detected by ultrasound screening

角田 博子1, 向井 理枝2

Hiroko TSUNODA1, Rie MUKAI2

1聖路加国際病院放射線科, 2聖路加国際病院臨床検査科

1Department of Radiology, St Luke’s International Hospital, 2Department of Clinical Laboratory, St Luke’s International Hospital

キーワード :

現在日本の対策型乳がん検診はマンモグラフィで行われているが,高濃度乳房での腫瘤の検出率が悪いことが知られている.超音波検査(US)はその欠点をカバーしよりよく腫瘤を検出できると考えられる.一方,予後不良なトリプルネガティブ乳癌(TNBC)は,境界明瞭な腫瘤として描出されることがわかっており,乳がん検診において効率よくTNBCを検出できれば,生命予後改善に大きく関与できるものと考えられる.そこで,乳癌検診において生命予後に大きく関与すると考えられるサブタイプ分類に特に着目し,US検診によりどのような乳がんが検出されるかを探った.当院の2009年1月から2011年12月の3年間のデータでは,検診受診者はマンモグラフィ(MMG):40,282名,US:28,691名のうち,検出乳癌は94例(0.23%)96病変と111例(0.39%)116病変である.要精査率は各々3.0%と4.8%であった.非浸潤癌と浸潤癌の検出割合は,USでそれぞれ42例(36.2%)と74例(63.8%),MMGで37例(38.5%),59例(61.5%)であった.浸潤癌のサブタイプを検討すると,US群はLuminal A(LA):25病変(以下,単位省略)(33.8%),Luminal B(LB):38(51.4%),LA or B:6(8.1%),HER2:2(2.7%),Triple Negative(TN):3(4.1%).MMG群はLA:13(22.0%),LB:32(54.2%),LAorB:3(5.1%),HER2:6(10.2%),TN:4(6.8%),HER2 or TN:1(1.7%)であった.US, MMGともにER(-)乳癌の検出は少なく,MMGに比較してUSで有意にER(+)乳癌の検出が多かった(P<0.001).また両方のモダリティを受診している症例に対象を絞って検討したところ,MMGにUSを加えて検出できる浸潤癌にnon-luminal乳癌はなかった.TNは日本全体の乳癌の約10%を占めていることを考えると,検診検出の割合は少なく,検診をすり抜けている可能性もある.また,USはTN乳癌を効率よく検出できる可能性を考えていたが,実際にはER(+)乳癌が多く,ER(-)乳癌検出は少なかった.