Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器2 消化管診断:超音波でどこまで診断できる?どこまで診断すべき?

(S292)

大腸癌

The Clinical Value of Abdominal Ultrasound in the Diagnosis of Colorectal Carcinoma

岡部 純弘

Yoshihiro OKABE

神戸大学大学院医学研究科内科学講座消化器内科学分野

Department of Gastroenterology, Kobe University Graduate School of Medicine

キーワード :

従来,消化管領域における診断法に関しては,各種のX線造影検査や内視鏡検査が開発され,日常臨床において広く用いられてきた.一方,腹部超音波検査(US)についても,診断装置の著しい進歩や多くの知見の集積により,消化管疾患における有用性が認識されるようになり,様々な大腸疾患にも応用されている.すなわち,上部消化管,小腸に連続して大腸に対する系統的な走査を施行することにより,粗大病変の検出が可能となる.大腸癌については,①層構造の不明瞭化を伴った限局性の壁肥厚,②内部エコーは固有筋層と同等か,あるいは低エコーで不均一,③内腔は不整を伴った狭窄像,④壁の硬化や蠕動運動の消失,⑤漿膜面の不整,などの超音波所見が特徴的とされる.その診断能については,比較的高いsensitivity(62-96%)が報告されているが,病期の早い症例や直腸病変については成績が不良とされる.今回の橋ノ口らの報告では,全体的にはUSのsensitivityは66.0%であったが,直腸病変を除外すると部位別に75-85%と高い診断率であった.さらに,彼らはUSとCTの診断能の比較を行っているが,直腸病変を除いてUSと単純CTの検出率に有意差を認めなかったとしている.一方,カラードプラ法を併用して進行大腸癌における腫瘍内血流動態を解析すると,肉眼形態,腫瘍径,深達度,病期,組織型などの病理組織学的所見との間に一定の相関が認められ,その病態把握に有用であることが,以前の我々の検討で判明している.以上より,消化器領域のUS診断では,大腸を含めた消化管も系統的に走査して進行大腸癌を拾い上げ,さらに付加的情報を収集することにより,臨床診断に貢献することが期待される.